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会社の安全配慮義務が問われたら・・・


2016年10月 4日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

◆「月刊 労務対策」

 

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◆平成28年10月号(Vol.23)の内容

 

○ 行き過ぎた業務指導と懲戒処分

 

○ 通勤手当が水増しされていたら・・・

 

○ 取締役にも残業を支払わなければならないのですか?

 

○ 内規は就業規則の一部なのでしょうか?

 

○ 残業時間の設定と36協定の関係は?


 

 

 

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では、今日は「会社の安全配慮義務が問われたら・・・」を解説します。

 

 

会社は社員に対して「安全配慮義務」を負っています。

 

 

これは、社員が安全、健康に働くことができるように配慮する義務があり、

 

会社がその義務を果たさないことを安全配慮義務違反といいます。

 

 

これは平成20年3月に施行された労働契約法の第5条に記載されています。

 

 

以下が条文です。

 

----------------------------------------------------------------------

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保

 

しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

----------------------------------------------------------------------

 

これは、会社の社員に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を確認するため

 

に明文化したのです。

 

 

そして、危険作業や有害物質への対策はもちろんですが、メンタルヘルス

 

対策も会社の安全配慮義務に当然含まれると考えられます。

 

 

もし、安全配慮義務を怠ったら、労働契約法には罰則がありませんが、

 

〇 民法第709条(不法行為責任)

 

〇 民法第715条(使用者責任)

 

〇 民法第415条(債務不履行)等

 

を根拠に、会社に多額の損害賠償が命じられる場合があるのです。

 

 

 

 

では、「従業員が安全、健康に働くことができるように配慮する」とは、

 

具体的に、会社が何をすることなのでしょうか?

 

 

一般的には、以下の取り組みをすることが安全配慮義務を果たすことと

 

なります。

 

 

〇 危険、健康障害の防止装置機械等に安全装置を設ける。

 

〇 安全衛生教育の実施 従業員に機械や原材料の危険性、有害性及び

 

  取り扱い方法について十分に教育する。

 

〇 安全衛生管理体制の確立 職場の規模等に応じて、総括安全衛生管理者、

 

  安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、産業医等を

 

  配置する。

 

〇 健康診断等の実施 従業員に健康診断を実施し、その結果によっては、

 

  就業場所、業務内容の変更、労働時間の短縮等の措置を取る。

 

〇 労働時間の管理(長時間労働の防止) 長時間労働(過重労働)に

 

  ならないよう、従業員の労働時間を管理する。

 

→ 例:1か月の時間外労働時間は、45時間以内に抑える。

 

〇 快適な職場環境の形成 事務所、作業所、トイレ、休憩所などを

 

  適切に設備する。

 

 

安全配慮義務について「設備を整える」「作業内容のチェック体制を組む」

 

などで物理的な安全を確保する手段は目に見えて取り組みやすいですが、

 

メンタルヘルスに対するものは対策が難しいと考えらます。

 

 

メンタルヘルス対策としては「過重労働防止」ということになりますが、

 

参考となる裁判が以下にあります。

 

 

<ヤマダ電機時間 前橋地裁 平成28年5月19日>

 

 

〇 契約社員Aは2年8カ月の経験を積み新規開店のフロア長(正社員)に

 

  抜擢された。

 

〇 Aは開店準備等で忙しく、多忙な業務を行っていた。

 

〇 開店直前にAが出勤しないため、店長が自宅を訪問したが、応答が無い

 

  ので、警察とともに宅内に入り、Aが死亡している状態で発見した。

 

〇 遺族は「自殺は、業務災害」を主張し、労災保険が適用された。

 

〇 その後、遺族が会社の安全配慮義務違反を理由として、損害賠償請求

 

  をするため裁判を起こした。

 

 

そして、裁判所の判断は以下となったのです。

 

 

〇 Aの自殺と業務の因果関係が認められない。

 

〇 損害賠償等の請求は棄却とする。

 

→ 会社側の勝訴

 

 

この裁判を詳しくみていきましょう。

 

 

自殺の原因が業務上の事由となると、その前に何らかの精神疾患となり、

 

その原因が過重労働、特に残業時間が問題となります。

 

 

どのぐらいの残業時間だったのかがポイントとなります。

 

 

この基準が月100時間を超えるようであれば、精神疾患の原因の可能性

 

が高くなります。

 

 

この裁判で労働基準監督署が労災の認定をしたときの数字は

 

〇 死亡前1カ月の残業時間は106時間21分

 

〇 死亡前1週間で47時間30分

 

となっていました。

 

 

しかし、裁判では

 

〇 死亡前1カ月の残業時間は94時間30分

 

〇 死亡前1週間で39時間55分

 

と判断したのです。

 

 

これに関しては、会社側は労働基準監督署の判断に誤りがあったと

 

主張しました。

 

 

さらに、Aが極めて強い業務上の負担を受けていたとは認められない

 

として、自殺との関係が業務と断定できないとしています。

 

 

この裁判では、

 

〇 残業時間とその業務の内容

 

→ 本人のみではなく、同僚の残業時間、休憩そして働き方もチェック

 

〇 Aの言動

 

を洗い出して、チェックしました。

 

 

さらに労働基準監督署の労災認定の判断についても、1から再検討し、

 

裁判所での判断を行って結論に至ったのです。

 

 

この裁判では労働基準監督署の労災認定がされていたのですが、

 

裁判では自殺と業務の因果関係は無いと判断されたのです。

 

 

これは「業務の負荷について、精神障害が発症するほど重いものではない」

 

と詳細な調査から判断していますし、残業時間も再度調査したのです。

 

 

しかし、これはまれなケースで、多くの裁判等で安全配慮義務違反は

 

会社に厳しい判断がなされているのです。

 

 

会社に安全配慮義務違反があった場合で裁判になると、冒頭でも記載した

 

とおり、民法で裁かれることになります。

 

 

そして、

 

〇 巨額の損害賠償請求をされることが想定される

 

〇 会社だけでなく役員個人も訴えられることも想定される

 

〇 長期にわたる裁判費用

 

〇 風評被害などによる売上減や他の社員の士気低下

 

などが予想されます。

 

 

だから、訴訟ともなれば会社は金額だけでは済まない、巨大な損失がある

 

ことも考えられるのです。

 

 

このことをリスクとして把握し、日々の労務管理をおろそかにせず、

 

運用することが重要なのです。

 

 

 

 

ちなみに、平成23年12月の業務による精神疾患の認定基準では

 

「業務による強いストレス」につき、具体的な事例を挙げその強弱で

 

労災認定基準としたのです。

 

 

具体的には

 

〇 達成困難なノルマを課した場合

 

→ 達成できない場合には重いペナルティがあると予告した

 

 

〇 退職を強要した

 

→ 怒鳴るなど、恐怖感を抱かせる方法で退職勧奨をした

 

 

〇 転勤させた

 

→ 転勤先は初めて赴任する外国であり、現地社員との会話が不能だったり、

 

  治安が悪い状況だったりなど

 

 

〇 嫌がらせ、いじめを受けた

 

→ 同僚等による大人数が結託し、人格を否定するような言動が

 

  執拗に行われた

 

 

〇 セクハラを受けた

 

→ 身体の接触を含むセクハラが継続的に行われ、

 

  会社に相談しても適切な対応がなく、人間関係が悪化した

 

→ 人格否定を含むセクハラで、かつ、継続的にされた

 

以上のようなことがあり、これらと合致する場合は「業務による精神障害」

 

と判断される可能性がかなり高いのです。

 

 

さらに、極度の長時間労働となっている場合も同じです。

 

 

具体的には「どれだけ残業時間があったか?」であり、

 

その基準は下記の通りです。

 

 

〇 発症前1ヶ月の残業時間が160時間以上

 

〇 発症前3週間の残業時間が120時間以上

 

〇 発症前の連続した2ヶ月間の平均残業時間が120時間以上

 

〇 発症前の連続した3ヶ月間の平均残業時間が100時間以上

 

 

結果として、困難なノルマを課した場合などや長時間残業の場合、

 

精神障害を発生したら、労災認定される可能性が高くなるのです。

 

 

しかし、プライベートで

 

〇 離婚

 

〇 別居

 

〇 配偶者、子どもの死亡

 

〇 配偶者、子どもの重い病気、ケガ

 

〇 多額の財産の損失

 

〇 天災、火災に巻き込まれた

 

などのことがあった場合、「業務が原因でない」と判断されるのです。

 

 

 

 

そして、1番大事なことは、社員の異変があった場合、すぐに対応する環境

 

を整えることです。

 

 

この運用があれば、会社が安全配慮義務違反に問われることもなく、

 

また、社員が安心して働くことができる職場となるのです。

 

 

これは社内のコミュニケーションの円滑化がベースとなるので、

 

コミュニケーション不全の会社、組織はまずここからメスが入る

 

こととなるのです。

 

 

些細な事と思わずに、少しでも社員の異変が感じられたら、丁寧に解決する

 

ことが大きなリスクを回避する最善の策なのです。

 

 

本人への聞き取り、残業時間の調査、専門医への受診等を

 

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これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

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当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

また、業界を揺るがすような裁判がありました。

 

 

(朝日新聞 9月28日より)

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トヨタ自動車で事務職だった元社員男性(63)が、定年後の再雇用に

 

際して会社から清掃業務を提示されたのは不当だとして、同社に200万円

 

の損害賠償などを求めた裁判の控訴審が名古屋高裁であった。

 

 

藤山雅行裁判長は請求を棄却した一審、名古屋地裁岡崎支部の判決を

 

一部変更し、同社に約127万円の賠償を命じた。

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ここまで

 

 

定年後の再雇用の仕事内容まで裁判所が口をはさむ時代となって 

 

しました・・・。

 

 

さらに、この裁判は高裁のものです・・・。

 

 

 

 

しかし、裁判所は「男性が定年退職せざるを得ないよう仕向けた疑いさえ

 

生じる」と記載がありました。

 

 

程度の問題かもしれませんね。


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