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元社員が会社と競業する仕事を始めたら


2016年11月22日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 


 

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◆平成28年11月号(Vol.24)の内容

 

○ 会社の安全配慮義務が問われたら・・・

 

○ どこからがプライバシーの侵害なのでしょうか?

 

○ 精神疾患からの職場復帰はどこまで配慮が必要ですか?

 

○ 契約社員は解雇できない?

 

○ 育児休業、介護休業法が改正となります


 

 

 

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では、今日は「元社員が会社と競業する仕事を始めたら」を解説します。

 

 

社員が退職した後に「元の会社と競業する事業をする他社に就職した」、

 

あるいは「元の会社と競業する事業の会社を設立した」等を理由に元の会社

 

とトラブルになる場合があります。

 

 

 

これは、会社と社員の間で「円満ではない形で退職する」場合が少なくない

 

ので、退職時の「しこり」が、こうした競業に関する問題として噴出する

 

ケースが多いのです。

 

 

 

 

会社と社員は雇用契約を結んでいます。

 

 

そして、社員は在職中に会社と競業する事業を営んで、会社の利益を著しく

 

害するようなことをしてはならない義務を負っているのです。

 

 

これを「競業避止義務」といいます。

 

 

そして、「退職後もこの義務を負い続けるのか」が問題となります。

 

 

そもそも、憲法で「人には職業選択の自由」が保障されています。

 

 

そうである以上、在職中はともかく退職後には競業行為を避けるべき義務は

 

負わないのが原則です。

 

 

したがって、社員が退職後に競業行為をしない内容とする誓約書を

 

提出していないなど、会社との間で競業避止義務について個別に合意を

 

していない場合は、競業避止義務違反に問われることはありません。

 

 

しかし、会社との間で競業避止義務について合意をしたという場合は、

 

どうなるでしょうか。

 

 

会社との間で競業避止義務について合意をしている場合でも、無条件に

 

その効力が認められるわけではありません。

 

 

例えば無理やり誓約書にサインをさせられたなどは有効な合意が成立して

 

いるとは言えないのです。

 

 

この場合は、合意が存在しないとの同じことになります。

 

 

また、仮に合意が成立しているとしても、「人には職業選択の自由」が

 

認められているので、その自由が不当に制約されない限度で効力は認められ

 

るのです。

 

 

 

では、競業避止義務違反が認められる場合はどんなケースなのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<第一紙業事件 東京地裁 平成28年1月15日>

 

 

〇 社員は新規事業開発の特命担当に任命され、開発業務を行っていた。

 

 

〇 会社等と社員で特許を出願した。

 

 

〇 社員は早期退職制度に募集し、退職した。

 

→ 普通退職金(約2,100万円)のほか、加算金として普通退職金の

 

  50%相当額(約1,100万円)を支給する

 

→ 希望者に対し再就職支援サービスを提供する

 

→ 退職事由は会社都合扱いとし、離職票の離職事由を「雇用主からの

 

  働きかけによるもの」とし、失業手当がすぐにもらえる

 

→ 退職日時点において未消化有給休暇がある場合、未消化日数分の

 

  平均賃金を加算金として支給する

 

 

〇 退職前から会社に対し、特許権の買い取りを打診した。

 

→ 交渉はしたものの結果は決裂となる

 

 

〇 早期退職制度に応募し、退職した後に在職中及び退職後の競業避止義務

 

  に違反して競業行為を行ったことが発覚した。  

 

 

〇 社員が在職中に競業行為を行い、退職後に競業行為を行う意図がある

 

  ことを会社に隠して退職金を受けたことが不法行為に当たるとして、

 

  不法行為に基づく損害賠償請求等を裁判所に申し立てた。

 

 

そして、裁判所は以下の判断を行ったのです。

 

 

〇 社員が在職中について、就業規則の規定に基づき、競業避止義務の適用

 

  がある。

 

 

〇 退職後は、退職時に提出した誓約書に基づき、競業避止義務の適用

 

  がある。

 

 

〇 (元)社員は会社に対して、加算分の約1,100万円と遅延損害金を

 

   支払え。

 

→ 会社側の主張が認められた

 

 

この裁判を詳しくみてみましょう。

 

 

まず、会社は商品に関する技術上の秘密、ノウハウ等を維持することを

 

目的として、社員に対して退職後の競業避止義務を課したのは当然の行為

 

です。

 

 

つまり、会社の利益(競業制限の目的)は保護されるべきものなのです。

 

 

また、(元)社員は会社における特命担当として、商品の開発を行い、

 

商品に関する技術上の秘密、ノウハウ等を最もよく知る立場にあり、

 

相応の営業能力を備えていました。

 

 

以上により、会社の利益を保護するために、(元)社員に対し退職後の

 

競業避止義務を課す必要が高いとし、会社の行為には問題はありません

 

でした。

 

 

そして、競業行為が「機密情報や業務上知り得た特別な知識を利用した

 

競業的行為」と限定されていることが認められ、その他の範囲についても

 

合理的に限定されていると判断されたのです。

 

 

さらに、早期退職制度の適用を受けた(元)社員に対し、通常の退職金に

 

加えて割増退職金の支払等で約3,200万円(加算分約1,100万円)

 

の優遇措置は退職後の競業制限に対する代償措置と考えられます。   

 

 

また、早期退職制度において、背信的行為を行った応募者に対し、

 

優遇措置(割増退職金)を受けさせるべきでないと定められています。

 

 

そして、早期退職制度の適用決定がされた応募者について、背信的行為が

 

発覚した場合に、会社がその適用を撤回することも予定されているのです。

 

 

退職金の加算部分は競業制限の代償措置なので、加算部分約1,100万円

 

の支払いを命じたのです。

 

 

競業避止義務をめぐる訴訟では、会社側の主張を認めてもらうことは

 

とても大変ですが、事例の裁判では請求内容が割増退職金の返還という

 

こともあり、会社の主張が認められたのです。

 

 

 

 

上記のように競業避止義務違反を明らかにして、さらに損害賠償や退職金等

 

の返還を請求することは簡単な事ではありません。

 

 

そこで、まず、競業避止を社員に守ってもらうために、具体的に何を準備

 

するのかを整理しました。

 

 

〇 情報の整理をし、経営層のみの情報、管理職までの情報、社外秘など

 

  その取扱いをルール化して運用する

 

 

〇 入社時に情報漏えいに関する注意を行い、禁止事項に関して誓約書を

 

  もらう

 

〇 退職時に競業避止義務違反を行わないように誓約書等をもらう

 

 

→ 実際に裁判等で争われる場合は、取締役等の経営層、開発者などが

 

  ほとんどであり、一般社員の場合は「職業選択の自由」が優先される

 

 

〇 特許や特殊技能の開発等の情報漏えいを避けるためには割増退職金等

 

  のオプションを付ける

 

→ 取締役等や開発者の場合は代替措置として、割増退職金等のオプション

 

  がないと、競業避止義務違反は認められないケースがほとんどである

 

などの対応が必要となってくるのです。

 

 

特に経営層や開発者に対し、書面のみでの制限は難しく、割増退職金等の

 

金銭補償などが無ければ制限はかけられないと考えられます。

 

 

だから、「書面にサインがあるから、競業避止義務違反だ」というのも

 

無効の可能性が高いのです。

 

 

 

 

会社が守らなければいけない情報については、細心の注意を払う必要が

 

ありますが、一番考えなければいけないことは、雇用関係が終了する際に、

 

感情的なしこりを残さずにケアを実施して送り出すことがポイントです。

 

 

 

 

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ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

もう11月も半ばを過ぎて、今年も1カ月と少しになりました。

 

 

昨年の今頃は「マイナンバーの取り扱い」の質問が多数ありましたが、

 

今年の年末調整で実際に使用する場面が増えているのではないでしょうか?

 

 

大騒ぎをした昨年と異なり、今年は冷静にマイナンバーについてのご質問も

 

ありますが、来年から社会保険への適用拡大となるので、ここも注意して

 

下さいね。

 

 

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