社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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契約社員の労働契約を終了するには・・・


2016年12月 6日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

 

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では、今日は「契約社員の労働契約を終了するには・・・」を解説します。

 

 

契約社員やパート社員などは労働契約で1年や6ヵ月でなどの期間が

 

区切られているケースが多いです。

 

 

その際に「更新をするのか?」「しないのか?」でもめることがあります。

 

 

労働契約書では更新について明記しなければなりませんが、古い契約書

 

などではざっくりとしていて、記述が無いものもよく見かけます。

 

 

この部分は必須項目なので、必ず記載して下さい。

 

 

 

 

そして、契約社員やパート社員などで更新を繰り返している場合、

 

契約が満了で辞めてもらおうと考えていても、簡単に辞めてもらう

 

ことができない場合があります。

 

 

例えば、契約更新を長年繰り返していて

 

〇 更新について、自動更新していた

 

〇 更新について、形式的で、新たな契約書に印鑑を押すだけ

 

等の場合です。

 

 

この場合は、「次の更新も自動で」「単に印鑑を押して更新」と

 

考えられるからです。

 

 

この場合、「会社は、また更新してくれる」という期待を抱かせるので、

 

「その期待権を保護する」という意味から、期間満了であっても雇用を

 

止めることが不法な状態(解雇権濫用)とみなされることがあるのです。

 

 

 

この状況を打破するための方法があります。

 

 

それは、会社と契約社員等とで労働契約に「不更新特約」を明記し、

 

合意することです。

 

 

最終の契約更新にあたる更新の際に

 

〇 今回の更新をもって最終とし○月○日で本契約は終了する

 

〇 最終更新であることを承認し、以降の更新を行わないことを承諾する

 

など、「今回をもって最終とし、次回以降の更新を行わない」旨を合意した

 

場合、合意に基づく労働契約の終了であるから、自動的な退職となると

 

考えられるのです。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<本田技研事件 最高裁 平成25年4月9日>

 

 

〇 期間契約の従業員Aは、約11年にわたり会社との間で「有期雇用契約

 

  の締結、契約期間満了退職、再入社」を繰り返していた。

 

 

〇 平成20年11月に会社は経営悪化から期間契約の従業員全員を

 

  雇止めすることとした。

 

 

〇 期間契約の従業員には、雇用契約締結前に説明会にて次回の更新では

 

  その後の契約について「更新なしの契約」であることを説明した。

 

 

〇 「不更新に関する条項を定める有期雇用契約書を締結できるならば

 

  契約書を提出してほしい」と伝えた。

 

 

〇 Aはこの契約書に署名した。

 

 

〇 退職後、Aは「期間満了による雇止めは違法のため無効」と

 

  裁判所に訴えた。

 

 

そして、裁判所は以下の結論を出したのです。

 

 

〇 Aは異議を述べずに退職届を提出している。

 

 

〇 慰労金や精算金も受領している。

 

 

〇 不更新条項は公序良俗に反しない

 

 

〇 会社側の勝訴となった。

 

→ Aの請求を棄却

 

 

この裁判の詳細をみてみましょう。

 

 

ポイントは最終の契約書の捺印についてで、以下となったのです。

 

 

〇 会社は説明会を開いて説明した。

 

→ 相談窓口を設けて、個別に各種相談に応じる体制で対応

 

 

〇 Aは説明会に参加し、説明を理解し、納得して契約書に署名、捺印

 

  を行った。

 

→ 更新しない旨について、Aが納得し、理解して受け入れたということは

 

  「次回は更新しないということを真に理解し、雇用継続に対する合理的

 

  期待を放棄したものである」と判断したのです。

 

 

この裁判では、「今回をもって最終とし、次回以降の更新を行わない」こと

 

は「雇用継続に対する合理的期待を放棄したものである」と判断されました。

 

 

 

一方、今回が最後という不更新特約があるにも関わらず、合理的期待が

 

存在すると判断された裁判もあります。

 

 

<東芝ライテック事件 東京地裁 平成25年4月25日>

 

 

この裁判は「今回をもって最終契約とする」という旨の文言について、

 

「合理的期待はまだある」と判断されたのです。

 

 

つまり、「継続雇用の期待があり」ということです。

 

 

この裁判そのものは有期雇用契約の雇止めが認められていますが、

 

本田技研事件との差を比べてみると、社員への説明会での対応の差

 

と言えます。

 

 

本田技研は説明会できちんと説明した上で署名をとっていたということが

 

評価されています。

 

 

ですから、このような従業員側に不利益となる取り扱いが発生する場合は、

 

詳細を説明会できっちり開催し、従業員にきちんと理解、納得いただく

 

ことが重要なのです。

 

 

特に本田技研では個別対応の窓口を設け、1人ひとりの事情に合わせた

 

ケアを行う体制をとっていたので、これが「契約を更新しない」という

 

ことの代償措置となったのでしょう。

 

 

期間が来たので「はい、終了」とはならないので、この部分を理解する

 

ことが大切です。

 

 

期間が決まっている契約社員やパート社員を期間満了で契約打ち切りと

 

いうことが契約当初から決まっている場合は「期日が来て終わり」と

 

なります。

 

 

しかし、更新を重ねた場合、法的な状況も異なってくるので、

 

期日到来で終了とならない場合の方が圧倒的に多いです。

 

 

今回、ご紹介したことを記憶に留めておいて、対応することを

 

おすすめします。

 

 

 

 

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ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

12月になって、年末年始の準備が気になる時期になりました。

 

 

毎年ですが、年賀状、大掃除等、会社でもプライベートでも

 

この時期にやらなくてはならないことがあります。

 

 

そんな合間をぬって、来年の目標も考える時期ですよね。

 

 

ここ数年、私は元日に目標を記録していますが、数か月経つと

 

すっかり忘れて、今頃読み返すことが多いです(笑)

 

 

よく「知らない間に目標が達成されている」と聞きますが、

 

確かにそういう項目もありますが、ハードルの高いものは

 

知らない間では達成できないできていないです・・・。

 

 

今年、いや、来年は詳細な計画も一緒に書こうと思います。


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