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2016年12月13日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、社会保険労務士の内海です。
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では、今日は「就業規則が有効になるか、ならないかの境目とは?」を
解説します。
会社と社員の働くためのルールは就業規則に定められています。
そして、このメルマガでは就業規則の重要性を取り上げてきましたが、
就業規則が法的に「有効」となるためには社員に就業規則を「周知」しない
といけません。
最初に就業規則を作成する場合は、どこの会社も力が入り、完成後
社員説明会を丁寧に実施し、理解をしてもらおうと努力するところが
多いです。
そして、法改正があったり、ルールが実態に合わないなど、就業規則に
変更を加えないとならない場合もあります。
このようなときは、条文だけを直して「完了した」ということで、
そのまま特に説明もなしに放置してしまうことはありませんか?
こうなると、「社員に周知していない」こととなり、就業規則の効力が
無効となる可能性もあるのです。
では、「周知」とはどういうことなのか詳しくみてみましょう。
労働基準法では就業規則を以下の方法で従業員に周知することを義務づけ
ています。
〇 常時各作業所の見やすい場所へ掲示又は備え付ける
〇 労働者に書面を交付する
〇 磁気ディスク等に記録した内容を常時確認できる機器を設置する
以上のいずれかの方法で周知しなければならないのです。
しかし、周知したからと言って社員全員が就業規則について理解を
深めているとは限りません。
会社と社員がトラブルとなる場合、「就業規則が公開されていない」
「就業規則がどこにあるかわからない」と主張し、その効力がたびたび
争われるケースがあります。
これに関する裁判があります。
<キャンシステム事件 東京地裁 平成21年10月28日>
〇 会社は就業規則を変更し、競業避止義務違反を懲戒処分の対象とした。
〇 複数の社員が退職時に、競業避止義務違反として退職金が減額された。
〇 この元社員らは「退職金不支給、減額条項は周知されていないので
就業規則の効力が及ばない」と主張し、裁判を起こした。
そして、裁判所は以下の判断をしました。
〇 就業規則等に関し、実質的に見て、その事業場の労働者の大半が内容を
知り、又は知ることのできる状態に置かれていれば足りる。
〇 競業避止義務違反は新たに懲戒処分の対象となる。
→ 会社側が勝った
この裁判を詳しくみていきましょう。
元社員らは、就業規則の変更にあたって、労働者代表の意見聴取
監督官庁への届出、労働者への周知の各義務を行っていないと主張して
きました。
しかし、裁判所は就業規則が法的規範としての性質を有するものとして
拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知
させる手続がとられていることとしました。
そして、実質的に見て、その事業場の労働者の大半が就業規則の内容を知り、
又は知ることのできる状態に置かれていれば足りるとしたのです。
さらに、実際に「就業規則の内容を知ったかどうかは問わない」との
ことです。
また、労働者代表の意見聴取、監督官庁への届出、労働者への周知の
各規定は、いずれも取締規定であって効力規定ではないから、これらの
義務を履行しなかったからといって効力に影響を及ぼすものではないのです。
この裁判の判断は最高裁の判断(フジ興産事件 最高裁 平成15年10月
10日)と同じ考え方となっております。
就業規則の効力について、法律では社員等が理解していることが求められて
いる訳ではなく、社員等が「いつでも知ることができる環境を整えておく」
ことが義務となっているのです。
だから、変更後の就業規則を社員の求めがあればいつでも閲覧できるように
することが大切です。
そして、就業規則の内容、掲示場所等について従業員に説明しておけば
法的な要件は満たすこととなるのです。
(もちろん、社員全員が就業規則等のルールを理解していることがのぞましい
ですが・・・。)
そうすれば、社員等が内容を理解していない場合でも、会社が周知義務を
怠ってはおらず、周知されていることで社員等は就業規則の効力を受ける
ことになるのです。
就業規則の効力が及ぶか?及ばないか?は就業規則等を周知しているか?
していなか?にかかっています。
だから、会社は就業規則を作成、変更を実施したときは社員等に周知する
ことを徹底して下さい。
社員に対し、就業規則がいつでも閲覧できる状態となっていれば、就業規則
の効力そのもので、争いが起こる余地は少なくなるのです。
また、来年の1月から育児休業、介護休業法が大幅改正となります。
特に休みの部分が大きく変わるので、この改正も既存の就業規則
(育児介護休業規定)の変更を行わないといけません。
早急に改定し、周知することが変更時にも大切となってきますので、
この点は押さえておいてください。
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■編集後記
12月4日の日曜日、今年最後のフルマラソンの大会に参加しました。
湘南国際マラソンで、海沿いの海岸道路がコースとなっていて、
一部、箱根駅伝と同じ道を走れる人気の大会です。
当日は晴天で富士山を拝むことができ、モチベーションも最高潮だったの
ですが、気温がぐんぐん上がり、フルマラソンにとっては高温の17度と
なり、私は35キロ過ぎで暑さと疲れで少し失速してしまいました。
それでも何とか3時間37分で帰還することができて、悪いながらも
対応ができたので悔いはありませんが、練習不足ですね(汗)。
フルマラソンで「ラッキー」はありません。
自分の実力以上は発揮できないことを痛感した1日でもあります。
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