社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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住宅手当で不正が発覚したら・・・


2017年5月30日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

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○ 懲戒処分を実施する時のポイント

 

○ 業務不良で解雇は可能でしょうか?

 

○ これを放置しておくと大変な事になります

 

○ 未払残業代を請求されたら、何をすればよいでしょうか?

 

○ 産業医の役割


 

 

 

では、今日は「住宅手当で不正が発覚したら・・・」を解説します。

 

 

春は引っ越しの季節です。

 

 

仕事の関係で生活の拠点を移動する人も多くいたでしょう。

 

 

転勤、異動となると働く社員にとって「生活が大きく変わる」「家族に

 

影響が出る」等で大いに気になるところです。

 

 

その補助として、住宅手当、住宅補助費などの手当が支給される場合が

 

あります。

 

 

また、福利厚生で賃貸住宅に住んでいる場合の住宅手当を支給する会社も

 

あるでしょう。

 

 

 

 

この住宅手当で「不正受給ではないか?」と言うご相談もよくあります。

 

 

〇 賃料が安い住居に引っ越したのに届け出ず、高額な以前の家賃で

 

  住宅手当の支給を受けていた。

 

 

〇 一部自己所有名義のマンションを賃貸として契約をし、住宅手当の

 

  支給を受けていた。

 

 

以上のようなご相談を受け、対策を求められることがあります。

 

 

 

住宅手当の規定は「会社独自で定めることができる」とされているので、

 

ルール等の作りこみが不足していた場合など、後々トラブルとなるケースが

 

見受けられます。

 

 

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<ドコモSC事件 東京地裁 平成28年7月28日>

 

 

〇 社員Aは自己所有名義のマンション(社員は実父と共有でだと主張)

 

  を親から賃借しているとして住宅補助費を受給していた。

 

 

〇 社員Aは社員B(妻)と結婚し、妻が賃借人となり、住宅補助費を

 

  受給していた。

 

 

〇 戸建を新築し、3階建て戸建の内、1階は実父名義、2階、3階が

 

  社員らの名義となっており、実父名義部分を賃借しているとして

 

  住宅補助費の申請をして受給していた。

 

→ 賃借している部分は倉庫、作業場であり、居住のためでは無かった

 

 

〇 会社は社員A、B(夫婦)に「住宅補助費の不正受給」があったとして、

 

  調査を行い、不正を確認して懲戒解雇を実施し、不正受給分の支払い

 

  を求めて裁判所に訴えた。

 

 

〇 社員A、B(夫婦)は「自己所有部分と合わせて居住に要する場合は、

 

  住宅補助費の支給対象から除外されていない」「形式的に支給要件を

 

  満たしている」と主張し、懲戒解雇の無効を訴えた。

 

 

そして、裁判所の判断は以下となったのです。

 

 

〇 住宅補助費規程の解釈、適用は「健全な社会通念、条理及び慣習による

 

  論理的解釈及び目的論的解釈も考慮されたものでなければならない」と

 

  した。

 

→ 住宅補助費支給のために実父名義の専有部分を契約したが、実態は

 

  住居として使っていない

 

→ 社員A、B(夫婦)は支給要件を満たしていない事を分かっていた

 

 

〇 戸建で通算7年以上、合計500万円以上不正受給をしていた。

 

 

〇 懲戒解雇は有効である。

 

→ 会社側の主張が認められた

 

 

この裁判を詳しくみていきましょう。

 

 

新築した戸建てについてですが、その大部分は社員A、B(夫婦)共有の

 

ものであったのですが、一部を夫の実父が所有し、賃借関係が一応存在する

 

ということです。

 

 

しかし、裁判所の判断では「自己所有の物件を居住するものであっても

 

その一部を親族に譲渡して賃借すれば、自己所有物件に住みながら、

 

住宅補助費を受けられることになるのは目的に反するとしたのです。

 

 

また、会社側は社員A、B(夫婦)に対し、慎重な調査を実施し、事情聴取

 

も実施、そして、本人たちに弁明の機会を与え、十分な時間をかけて判断を

 

下そうとしたのです。

 

 

しかし、本人たちは事実発覚後、悪質な態度をとり、住宅補助費の不正

 

受給は経済的な利益を得るためであっただけと判断され、懲戒解雇は

 

有効とされたのです。

 

 

 

 

事例の裁判では、実質、自己所有の物件について、親族を巻き込んで

 

住宅補助費を不正に受給し、発覚後の本人たちの態度も悪質なため、

 

結果として懲戒解雇が有効と判断されています。

 

 

この裁判は「かなり悪質なケース」と考えられますが、実際のご相談も

 

似たようなものです。

 

 

例えば、

 

〇 賃料補助がある会社で、その基準をパーセンテージで設定

 

  していましたのですが、該当者は家賃が低い物件に引っ越したにも

 

  かかわらず、前の基準で賃料補助を受けていいるようですが・・・。

 

 

〇 1人暮らしをしている社員で、住宅手当を支払っているのですが、

 

  少し離れた実家から通っているようですが・・・。 

 

 

などがあります。

 

 

このような場合、まずは事実関係のために「調査」を実施しましょう。

 

 

〇 社員本人へのヒアリングを行う。

 

〇 賃貸借契約書の原本の確認を実施する。

 

〇 必要であれば、不動産の登記簿謄本を取得し、確認する

 

〇 過払い、不正受給の弁済を実行させる

 

〇 不正等の事実がはっきりしたら懲戒処分等を検討する

 

→ 就業規則の該当条文の確認

 

→ 懲戒処分にあたっての手続きの確認(懲罰委員会の実施、弁明の機会

 

  の付与等)

 

等を検討することが重要です。

 

 

また、住宅手当等の規程を作成する場合、認定の基準、金額等を

 

詳細に決定し、住宅手当停止の条件なども記載して、誤解のないような

 

形のルールにしておくことが重要です。

 

 

仮に、事例の裁判で「物件の持ち分に自己所有分がある場合は非該当」と

 

あれば、今回のようなことにはならなかったのかもしれません。

 

 

住宅手当等の金額も時代とともに変化するので、定期的に見直しを

 

行う必要があるので、住宅手当等の制度をお持ちの会社はこれを機会に

 

見直しをしてみるのも良いでしょう。

 

 

 

 

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無断使用、無断転載を禁じます。

 

これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

先月の半ば、ヤマト運輸の未払残業の件が報道されました。

 

 

内容はドライバーら4万7,000人に対し、過去2年分の

 

総額190億円の未払残業代の支給を決定したとのことでした。

 

 

金額インパクトと行動の速さにびっくりでした・・・。

 

 

この報道があったからでしょうか?

 

 

ドライバー向けに「取り戻そう未払残業代!」とネット広告、

 

サービスエリアなどでポスターが掲げられたりと、じわじわと

 

その効果が出てきそうです。

 

 

しかも、広告主の多くは弁護士事務所となっていますね。

 

 

また、先週、北海道新聞でも未払い残業代の支払いについて、

 

報道がありました。

 

 

終息するかな?と思われていた未払い残業問題は「さらに」広がり

 

をみせるかもしれませんね。

 

 

早期の対策が必要な会社の方はご連絡を下さいね。 


パワハラでうつ病になったと言われた時の対応について  |  懲戒処分を実行するときのポイント

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