社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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懲戒処分を実行するときのポイント


2017年6月 6日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

皆さんは就業規則や雇用契約書などの作成でお困りではありませんか?

 

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○ 試用期間中に解雇はできますか?

 

○ パワハラでうつ病になったと言われた時の対応について

 

○ 住宅手当で不正が発覚したら・・・

 

○ 働き方改革の目玉である時間外労働の上限規制について


 

 

 

では、今日は「懲戒処分を実行するときのポイント」を解説します。

 

 

「懲戒処分を実施しようと思いますが、どのようなプロセスを踏めば

 

良いのでしょうか?」

 

 

懲戒処分を実施することは、会社にとって「よっぽどの事」があった

 

からでしょう。

 

 

しかし、頻繁に発生する訳でもなく、実際に実行するとなると躊躇

 

してしまうケースが多く見受けられます。

 

 

但し、会社の就業規則の懲戒処分の項目に以下が記載されているはずです。

 

 

〇 懲戒の種類

 

→ 訓告、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇など

 

 

〇 懲戒の事由

 

→ 懲戒処分に該当する行為はどんなものかを具体的に記載する

 

 

この記載が無ければ、懲戒処分を実施することはできないと考えられます。

 

 

仮に、就業規則に懲戒処分の項目が詳細に明記されていても、すぐに

 

就業規則等に記載通りの処分を実行して良いのか?迷うところです。

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<クレディ・スイス証券事件 東京地裁 平成28年7月19日>

 

 

〇 社員はセクハラ行為が2年程度続き、また、他にも懲戒処分に該当

 

  する行為を行っていた。

 

 

〇 会社は社員に対し「諭旨解雇」の実施を決め、本人に通知したが

 

  本人は同意しなかった。

 

 

〇 会社は諭旨解雇の通知後1ヶ月経過した段階で「懲戒解雇」を

 

  行った。

 

 

〇 社員は「懲戒解雇は無効」と主張し、裁判を起こした。

 

→ 本判決確定の日までの賃金月額100万円等の支払いと

 

  賞与約1,000万円等も請求した

 

 

→ 会社に対し、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料300万円等)の

 

  支払いも求めた

 

 

そして、裁判所は以下の判断を行ったのです。

 

 

〇 解雇無効

 

 

〇 未払賞与等支払請求及び損害賠償請求は棄却 

 

 

この裁判を詳しくみていきましょう。

 

 

裁判所は「セクハラ行為等は懲戒事由に該当し、社員は相応の懲戒処分を

 

受けて然るべきであると考えられる」としました。

 

 

しかし、社員に対し、事前に「注意、指導」が行われていないことが

 

問題となったのです。

 

 

懲戒処分における「極刑」といわれる「懲戒解雇」と、その前提である

 

「諭旨退職」という極めて重い処分が社会通念上相当であると認めるには

 

考慮すべきことがあったのではないかと判断されています。

 

 

つまり、「注意、指導なく、いきなり懲戒解雇等は重すぎる」ということ

 

なのです。

 

 

事前に注意、指導等を行い、「降職」等の懲戒処分の選択肢を探る

 

べきでは無いかと言うのが裁判所の考え方なのです。

 

 

そして、懲戒解雇とその前提である諭旨退職は、いずれも無効ですが、

 

諭旨退職及び懲戒処分が無効であることから直ちに不法行為が成立するわけ

 

ではありません。

 

 

よって、未払い賞与等と損害賠償金の請求は棄却となったのです。

 

 

 

 

懲戒処分の種類で、「訓告、けん責、減給、出勤停止、降格等」と

 

「諭旨解雇、懲戒解雇」について、企業秩序を乱したことは同じですが、

 

大きな違いがあるのです。

 

 

それは、前者は対象者の雇用を今後も前提に考えている処分となっています。

 

 

しかし、諭旨解雇、懲戒解雇については、将来にわたって、雇用の継続を

 

解消し、極刑に処すことです。

 

 

そのために、懲戒解雇等の実行について、慎重に取り扱うべきと

 

考えられます。

 

 

 

また、一般的に、企業秩序を乱す行為を行う社員についての傾向ですが、

 

1つの事柄だけではなく、複数の問題を抱えている事があります。

 

 

このようなケースの場合、会社、上司は面倒くさがらずに、問題の言動を

 

記録に残す事が重要です。

 

 

できれば日時を添えて下さい。

 

 

なぜならば、裁判等で、この記録が客観的な証拠として取り上げられる

 

可能性が高くなるかがです。

 

 

また、懲戒処分の発動で注意が必要な点として、手続きがきちんと行われる

 

ことが必須になります。

 

 

就業規則等で労働組合と事前協議の手続きが規定で定められているので

 

あれば、この手続きを守らなければ、「処分が無効」となってしまう

 

可能性が高いのです。

 

 

実際の裁判で、規定上は「懲罰委員会の決議」が必要な内容でも

 

緊急性を優先して、決議を採らずに処分を実施した場合、裁判で

 

「処分が無効」と判断されたケースもあるのです。

 

 

また、該当者に対して「弁明の機会」を与えるルールとなっていれば、

 

これも必須事項となるのです。

 

 

もし、「該当者が出社されては困る」とケースもありますが、

 

そんな時は「自宅待機命令」を出して、出社させず、証拠等の保全を

 

はかりましょう。

 

 

よく聞く話で「懲戒処分を言い渡した直後に、社内のネットワークに

 

入り、データをめちゃくちゃにされた」というケースも複数聞いています。

 

 

このような被害にあわない為にも、処分の言い渡しもケアする必要が

 

あるのです。

 

 

最近は人手不足で採用が追いつかないという話を聞きます。

 

 

それと同じぐらい「いろいろな人を採用して、解雇も検討しなければ

 

ならない」「懲戒処分を検討しなくてはいけないケースも出てきます」

 

などのご相談が舞い込んできます。

 

 

そのようなときは専門家とタッグを組んで、慎重に事を進めるのを

 

おすすめします。

 

 

 

 

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これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

最近、いろいろなお客様から人事や給与のソフトの質問をお受けします。

 

 

クラウド対応のものが花盛りですが、実際、各社の個性が出ていて、

 

また、お客様の求めるものがことなるので、どれがおすすめと一言

 

で言えないのも事実です。

 

 

でもAIで、これからの手続きは「さくっと!」できてしまう時代が

 

すぐそこに・・・。

 

 

乗り遅れてはいけませんね。

 

 

もっと情報に敏感になって、これからを考えています(汗) 


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