社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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残業代は1分単位で支払いが必要ですか?


2017年6月13日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

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○ 住宅手当で不正が発覚したら・・・

 

○ 働き方改革の目玉である時間外労働の上限規制について


 

 

 

では、今日は「残業代は1分単位で支払いが必要ですか?」を解説します。

 

 

残業代の問題が最近クローズアップされています。

 

 

ヤマト運輸の未払い残業の件が引き金で、最近、沈静化していた残業問題が

 

最近、再燃した気がします。

 

 

また、働き方改革の「目玉」として、残業時間の規制があり、

 

時間を守らないと、会社に罰則が科せられることが決まりそうです。

 

 

このような背景の中、「残業時間は何分単位で支払えば良いのですか?」

 

「15分単位で残業時間を切り捨てていますが、違法でしょうか?」

 

等のご質問をお受けします。

 

 

実際に、弁護士さんから、「一般的な残業代の支払いの方法を教えて

 

下さい」とご相談を受けたケースもたびたびあります。

 

 

 

では、この質問に回答する前に「労働時間の定義」を復習しましょう。

 

 

労働基準法の労働時間とは、労働者が使用者の明示又は黙示の指揮命令

 

ないし指揮監督の下におかれている時間とされています。

 

 

この考えは最高裁の判決で、三菱重工長崎造船所事件(最高裁

 

平成12年3月9日)にも反映されているのです。

 

 

さらに、タイムカードのみで時間管理を行っている場合は大きなリスクが

 

あります。

 

 

それは、「打刻時間 = 労働時間」と推定される可能性が高いと

 

いうことです。

 

 

仮に「タイムカード時間は労働時間では無い」ということを主張する

 

のであれば、「労働時間では無い」という証拠を準備する必要が

 

あるのです。

 

 

<京電工事件 仙台地裁 平成21年4月23日>

 

 

〇 社員の勤務態度には、仕事に対する意欲の消失、緊張感の欠如、

 

  初歩的なミス、時間管理能力の欠如が現れるようになった。

 

 

〇 社員が施行した工事につき、改善工事や、やり直し工事が発生する

 

  などした。

 

 

〇 会社は社員に退職をお願いした。

 

 

〇 社員は、会社から自主退職の名目で懲戒解雇理由がないのに

 

  懲戒解雇同様の不利益処分を下されたとして、残業代の未払いを

 

  合わせて裁判を起こした。

 

 

そして、裁判所は以下の判断をしたのです。

 

 

〇 解雇に関しては懲戒解雇事由に準ずるものと解するのが合理的である。

 

 

〇 残業代の未払いについては、請求と同額の約400万円を認めた。

 

 

この裁判を詳しくみてみると、社員の行動で「明らかに仕事では無い」

 

ものが散見されたのです。

 

 

それは、

 

〇 パソコンゲームを事務所で行う

 

〇 事務所を離れて仕事に就いていなかった時間がある

 

等です。

 

 

裁判所も、会社の言い分を認めつつも労働基準法の賃金全額払いの原則

 

を採用し、タイムカード時間での支払いを命じたのです。

 

 

さらに、裁判所は以下のコメントを添えたのです。

 

 

「会社においては労働者の労働時間の管理をタイムカードで行っていたので

 

あるから、タイムカードに打刻された時間の範囲内は、仕事に当てられた

 

ものと事実上推定されるべきである」としたのです。

 

 

さらに、裁判所は「実際に仕事をしていない時間が相当含まれていること」

 

を認めながらも、除外すべき時間が特定されていない為、社員の請求額の

 

全額を認める判断を行ったのです。

 

 

この事件では、タイムカードのみを労働時間管理に活用している場合は、

 

原則としてタイムカードに記載された時間から休憩時間を差し引いた時間

 

のすべてが労働時間と推定されたのです。

 

 

別の裁判でも同様のケースがあり、タイムカードの他に労働時間を把握

 

するエビデンス等が無ければタイムカードの打刻時間が労働時間と推定

 

されるのです。

 

 

 

労働基準監督署の調査でも以下のものがありました。

 

 

餃子の王将でおなじみの王将フードサービスの事件ですが、

 

2014年7月14日に同社から出されたプレスリリースによれば、

 

京都下労働基準監督署からの指導に基づき、以下の未払残業代を支給する

 

ことになったそうです。

 

 

〇 未払賃金総額:2億5500万円

 

〇 対象期間:平成25年7月16日から平成26年2月15日までの

 

  7ヶ月間

 

〇 未払対象者数:923人

 

 

当時の報道によれば、同社は労働時間の記録を15分または30分単位

 

で記録して、それよりも短い端数時間が切り捨てられていたようで、

 

その時間分の賃金を未払い賃金として精算支給となったとのことです。

 

 

 

 

以上のように「タイムカードのみ」で労働時間を管理している場合は、

 

1分単位の残業代を支払わないと裁判所や労働基準監督署から指摘を

 

受ける可能性が高くなります。

 

 

しかし、世の中の会社が全て「1分単位で残業時間を集計しているか?」

 

と言ったら答えはノーです。

 

 

タイムカードはあるけれども、残業の管理は別の方法で行っている場合が

 

多いのです。

 

 

具体的には残業は「事前申請にて上席者の命令で行う」ということ

 

です。

 

 

そもそも、残業も業務であるので、会社の指揮命令下で行われるもの

 

なので、その関係性を明確にするものが残業の事前申請制度です。

 

 

そこをクリアにして、業務量に見合った残業時間の把握を会社が

 

行う必要があるでしょう。

 

 

つまり、「この業務は1時間で完結する」といった残業管理を徹底する

 

ことがポイントとなるのです。

 

 

この運用が明確に行われていれば、タイムカードの打刻時刻に対抗できる

 

エビデンスとなるのです。

 

 

もし、皆さんの会社で、労働時間の管理がタイムカード「だけ」で

 

あれば、残業集計は1分単位で行わないと違法と判断される可能性が

 

高くなります。

 

 

そのためにも残業の事前申請制度の導入をおすすめします。

 

 

そのためにも残業管理を行う必要があるので、この部分の分析から

 

始めましょう。

 

 

もっとも、「タイムカードを廃止して、出勤簿でチェックを付ければ

 

大丈夫」と言うお話をされる社長もいらっしゃいますが、これは

 

もっとリスクが高くなります。

 

 

ある裁判では、労働者の手帳に記録していた退勤時間が採用された

 

ケースもあるからです。

 

 

残業管理は「ブラック企業」と言われないためにも重点的に対応する

 

必要があるのです。

 

 

 

 

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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

先々月の話ですが、初めての挑戦をしました。

 

 

それは100キロのマラソンに挑戦したことでした。

 

 

今まで、トレイルランニングのレースで70数キロ走ることは経験済み

 

でしたが、今度はロードで100キロを走り切れるかを試みました。

 

 

富士五湖をめぐるウルトラマラソンの大会に出場して、何とか完走

 

できました。

 

 

脚は悲鳴を上げていましたが・・・。

 

 

完走した瞬間は「自分はすごい!」と思ったのですが、今考えると

 

単なるヘンタイの1人ですね(笑)

 

 

この夏はまた、70数キロのトレイルランニングのレースに参戦予定です。 


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