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2017年7月11日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、社会保険労務士の内海です。
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では、今日は「社員の持病も会社のリスクとなります」を
解説します。
会社が社員に「安全な環境で働いてもらう」義務があるのは、
ご存知かと思いますが、法的には「安全配慮義務」といいます。
そして、「安全配慮義務」は裁判等で、よく登場してくる言葉
となっています。
社員に安全な環境で働いてもらうのは、当然のことですが、
報道では「過重労働」とリンクして、残業時間が多いこと
が問題とされています。
なぜなら、残業時間が多い社員が倒れた場合、労災に該当する
可能性が高くなるからです。
例えば、脳や心臓疾患は発症前2ヵ月から6ヶ月の間にわたって、
1ヵ月あたり概ね80時間を超える残業が認められれば、業務が
原因で発症したとされるのです。
もし、社員が「持病」を持っていて、残業時間が多かった場合、
倒れた等の状況が発生したら、その責任の所在は本人でしょうか?
会社でしょうか?
これに関する裁判があります。
<竹屋事件 津地裁 平成29年1月30日>
〇 会社は飲食店を複数経営する会社で、店長だった元従業員が
致死性不整脈により死亡した。
〇 元従業員は心筋梗塞、糖尿病等の持病があり、喫煙等も医者に
止められていたが、実際は自分の身体を気遣う様子もなく、
喫煙もしていた。
〇 元従業員は死亡前2ヵ月間から6ヵ月間以上にわたって、
毎月120時間を超える残業を行い、恒常的な長時間労働
であった。
→ 2店舗で店長を務め、他の9店舗でも店長代理業務を兼務
〇 元従業員の遺族は会社と代表取締役に損害賠償を求めて、
裁判を起こした。
そして、裁判所は以下の判断をしました。
〇 会社と社長らに約4,600万円の損害賠償の支払いを命じた。
〇 会社側が敗訴となった。
この裁判を詳しくみてみましょう。
元従業員の長時間労働について、上司はこれを把握していましたが、
何の対策も取らずに放置していました。
さらに、長時間労働になった分析も実施してはいなかったのです。
これにより、安全配慮義務違反があると判断されています。
そして、代表取締役についても「重大な過失により、長時間労働を
放置した任務懈怠があった」とされ、その結果、元従業員が死亡と
いう結果を招いたとして、責任を負うとされたのです。
損害額ですが、遺族は会社と代表取締役らに約9,500万円の
損害賠償を求めた訴訟の判決で約4,600万円の支払いを
命じました。
これは約3割の過失相殺が行われました。
なぜなら、元従業員が持病により
〇 喫煙を禁止されていたにも関わらず、喫煙したこと
〇 肥満解消に運動をすすめられていたが、運動していなかった
〇 食事制限が必須であったが、脂っこいものを食べていた
などの要因で3割を過失相殺としたのです。
この裁判から考えなければならないことは、まずは「過重労働」
の問題です。
なぜならば、労災に該当するか否かの残業時間は大きな問題で、
会社の責任が大きいからです。
残業時間について
〇 月100時間
もしくは
〇 2ヵ月間~6ヵ月間で80時間
を超えてしまい、社員が倒れたら、即労災の可能性が高いです。
さらに考えなければならない重要なポイントことは、
「会社が社員の健康状況を把握していたか」についてです。
事例の裁判では、「筋梗塞、糖尿病等の持病」があって、
さらに長時間残業ということでした。
会社は元社員の健康状況を把握しながらも、長時間労働に
対する対策をしなかったことが大きな過失となったのです。
その結果、過失相殺があったものの、長時間労働で発生した
事故で大きな責任が問われたのです。
よって、会社は社員の健康状況を把握して、対策をたてないと
「安全配慮義務違反」になるリスクがかなり高いということです。
長時間労働の解消については、会社がすぐに取り組まなければ
なりません。
それと同時に、社員の健康状態を心身ともに把握する必要が
あるのです。
これを怠り、社員の持病と長時間労働が結び付いたら、会社として
知らぬ間に大きなリスクを抱え込んでしまうことになるのです。
また、社員の健康状態の把握は、採用の時から始まっています。
採用時、応募者は「大きな病気」や、「障害等」について、
自己に不利になる情報は積極的に出さないでしょう。
よって、入社後に判明することも実際に多くあります。
しかし、業務遂行に大きな影響がなければ、辞めてもらうことも
厳しいこととなるのです。
だから、入社前に健康診断の実施、若しくは健康診断書の
提出を求めましょう。
大手の企業にとっては当たり前でしょうか、中小企業で、
なかなか実施している会社が少ないのも事実で、採用の
チェックを徹底しましょう。
また、その後も健康診断を毎年受診させることや、
生活習慣病の予防についての情報提供等を会社側で実施する
ことをおすすめします。
因みに、健診を受けていない社員がいる場合も、会社の責任が
問われる可能性が大きいです。
まずは会社も社員も「健康」について意識することの重要性の
再確認が必要です。
また、長時間労働については、さらに厳しい目が世間から
注がれることは間違いありません。
次回の労働法の改正で残業時間の上限設定がより明確になり、
これを変えるとすく罰則が適用されることになりそうです。
あわせて、解消する策を早急に実施する必要があります。
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■編集後記
助成金のご質問もよくお受けします。
働き方改革とリンクして、いろいろな助成金があります。
しかし、厚生労働省の助成金を受給したいなら、労務管理が
整備されていないと厳しいです。
特に勤怠管理と残業代の支払いに関しては、厳しいチェックを
受けるケースが多いですね。
同業の方からの情報で、キャリアアップ助成金の支給申請時に
未払いの残業が発覚して、清算をさせられた・・・ということを
聞きました。
返済不要の助成金ですが、支給を受けるまでには厳しい
ハードルがいくつも待ち構えていますね。
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