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2017年7月18日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、社会保険労務士の内海です。
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では、今日は「休職期間を誤ると大変なことに・・・」を
解説します。
社員が業務以外の原因で、病気やケガである程度の期間、
働けなくなった場合に会社はすぐに「解雇」はできません。
この場合、解雇を猶予する制度として傷病の「休職制度」を
設けている会社が多くあります。
最近、この休職制度がクローズアップされています。
なぜなら、精神疾患を患う人が増えてきて、うつ病等で
この制度のお世話になる人が多数でてきたからです。
但し、この休職制度は法律で定められているものではないので、
要件などを設定する場合は就業規則の定めによることとなります。
たから、休職制度を設ける場合、就業規則の条文をきちんと整え、
運用することが会社のため、社員のためになるのです。
しかし、休職制度が運用される事は日常的ではない為、
制度を作った時はいろいろ考えますが、その後は放置してしまい、
なんとなく存在する場合も、多くの会社で見受けられます。
ただ、社員が休職せざるを得ない状況はいきなりやってきます。
そのようなときに、運用を間違えてしまうと大変な事になって
しまいます。
これに関する裁判があります。
<石長事件 京都地裁 平成28年2月12日>
〇 社員が通勤中に交通事故により負傷した。
〇 社員は約6ヵ月の治療期間を要する診断を受けた。
〇 その後、社員は別の病院で通院治療を受け、
1ヶ月の安静加療を要すと診断された。
〇 社員は事故から3カ月経過後復職を申し出たが、
会社は「治療に専念するように」と指示を出した。
〇 その後、社員は「軽作業可能」と記載された診断書を会社に
提出するも、「引き続き治療を専念し、業務を引き継ぐよう」
に指示をした。
→ さらに、事故から6ヵ月経過前に手術を要するとなり、術後、
2~3ヵ月はリハビリ通院を要する旨の診断を受けた。
〇 「事故当日から6ヵ月経過する日が休職期間の満了」である
とし、いったん退職するように社員に働きかけ、承諾をもらった。
→ 休職期間は事故当日から6ヵ月経過までと説明した
→ 社員は再雇用についての書面を求めたが、会社はこれを
拒否した
→ 上司からは「再雇用は約束されている」と口頭で述べられた
〇 退職届を提出し、3ヵ月が経過した時に再雇用を求めたが、
会社はこれを拒否したため、社員は裁判に訴えた。
そして、裁判所の判断は以下となったのです。
〇 休職制度は就業規則により制定されている。
〇 就業規則には「業務外の傷病により引き続き1ヵ月を超えた
欠勤したときに休職」と記載されている。
〇 休職制度の始まりは「事故の当日」からではない。
→ 会社側の説明は間違っていた
〇 仮に、この説明を持って休職がスタートしたとすれば、
就業規則の要件を欠く休職命令である。
〇 この場合、仮に社員と合意があっても、就業規則の条件より
休職命令が社員にとって不利な状況となる。
〇 よって、休職期間満了による退職は「無効」である。
→ 会社側が敗訴した
この裁判では、法律で定められていない休職制度の根拠は就業規則に
あることが明確となった裁判です。
特に休職の始まりの時期について、会社側の誤った説明がポイントと
なり、法的に無効となってしまったのです。
今回は6ヵ月の休職期間が問題となったのではなく、その前の欠勤
期間のカウントについて問われたのです。
実際に今回取り上げた事例の裁判のように休職前の期間の定義を
1ヵ月の欠勤を経て、その後休職を命じるとなっている就業規則は
多くあります。
しかし、このことを正確に理解できている会社が多くありますか?
就業規則で「自ら」決めた手続きを守る必要が会社にはあり、
裁判等になってもこの点を厳しく追及されるのです。
仮に、事例の事件で会社と社員が「事故当日から休職が開始された」と
合意していても、個別の合意で、労働者側が不利となっているものは
就業規則の条件に引き上げられるということも確認されているのです。
これは、休職制度に限らず、会社独自で決めたルールがあった場合、
同じことが起こることになるのです。
私も、このメルマガで就業規則の重要性を何度も書きましたが、
裁判でも同じ事が言われているのです。
だから、会社は条文の1つ1つで何を決めたのかを理解している
必要があるのです。
しかし、多くの会社は「何か」ことが起こってから規則が
どうなっているのかを調べます・・・。
これでは本末転倒の場合も多いので、今1度、就業規則を
見直して運用と合致しているのかを精査する必要があるのです。
働き方改革に伴い、労働基準法も改正される可能性ができていいます。
その原案を見る限り、今まで以上の労務管理が求められる時代と
なることは間違えありません。
今のうちに会社の労務管理を見直すことをおすすめします。
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■編集後記
先日の7月7日、最高裁の判決で衝撃的な判決がありました。
それは、残業代の裁判でした。
内容は、残業代込みの医師の定額年俸(1,700万円)が有効か
どうかが争われたもので、最高裁は「残業代と基本給を区別できない
場合は残業代が支払われたとは言えない」として無効と判断したのです。
最高裁判決は、残業代の区別が不明確な給与の支払いは、例外なく
認められないとの立場を鮮明にし、労基法を順守するよう使用者側
に求めたのです。
今後、報酬の大小に関わらず、残業代の訴訟は「基本給との区分」
がポイントとなるでしょう。
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