社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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労災なのか? 持病なのか? 判断が微妙ですが・・・


2017年7月25日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

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では、今日は「労災なのか? 持病なのか? 判断が微妙ですが・・・」を

 

解説します。

 

 

「業務で体を悪くした・・・」

 

 

「この仕事の影響で、病気になった・・・」

 

 

このような話で「労災が適用されるかどうか?」とご相談を受ける

 

ことはよくあります。

 

 

明らかに業務が原因の場合は労災となるでしょう。

 

 

しかし、精神疾患などの判断はとても厳しかったのですが、

 

過重労働、特に残業時間との関連が紐づき、この時間が基準と

 

なって判断されるようになったのです。

 

 

この件は、このメルマガでも何回も取り上げましたが、次に多いのが

 

腰痛との関連です。

 

 

体を使う業務の方に限らず、腰は重要ですが、腰痛が発生し、

 

それが「業務が原因か?それとも持病なのか?」判断に悩む

 

ところです。

 

 

平成6年9月6日 (基発547号)の通達が以下となっています。

 

----------------------------------------------------------------------

「職場における腰痛予防対策指針」では、重量の制限を次のように

 

定めています。

 

 

満18歳以上の男子が人力のみにより取り扱う重量は55kg 以下に

 

すること。

 

 

当該男子労働者が、常時、人力のみにより取り扱う場合の重量は、

 

当該労働者の体重の概ね40%以下となるように努めること。

 

 

55kg以上の重量物を取り扱わせる場合には2人以上で行わせるよう

 

努めること。 

 

----------------------------------------------------------------------

 

これとは別に、女性や18歳未満の年少者についてはさらに規制が

 

厳しくなっています。

 

 

しかし、現実的に腰の痛みが業務なのか?もともと本人の持病なのか

 

わからない部分が多いです。

 

 

「先日、腰痛は業務が原因なので、労災の適用をしてくださいと

 

社員に言われたのですが、どのように対応すれば良いですか?」

 

と言うご相談もありました。

 

 

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<ケー・アイ・エス事件 東京高裁 平成28年11月30日>

 

 

〇 社員が腰痛を発症し、悪化させて働けない状態となって会社を

 

  休職していた。

 

 

〇 会社が決めた休職期間が経過して、社員は退職となった。

 

 

〇 社員は「腰痛は重量物を持ち上げる作業が原因で発症したもので

 

  退職は労基法19条に違反し無効である」として裁判を起こした。

 

 

→ 労働基準監督署は「腰痛は労災」と判定した

 

 

→ 腰痛を発症・悪化させたのは会社の腰痛予防のための必要な

 

  措置を講じなかった安全配慮義務違反によるとして、法行為に

 

  基づく損害賠償金等も要求

 

 

〇 第1審(東京地裁 平成28年6月15日)は、腰痛は業務上の

 

  傷病であり、退職は無効、損害賠償の一部を認めた判断をした。

 

 

〇 これに対し、会社側は腰痛は「業務とは関係ないところでの発症」

 

  として、控訴した。

 

 

そして、高裁は次の判断をしたのです。

 

 

〇 腰痛は私傷病であり、休職の満了の退職は有効である。

 

 

〇 損害賠償等の請求を棄却した。

 

 

では、第1審と第2審で逆の判断になったのかみてみましょう。

 

 

第1審は社員が約230キロのコンテナ容器の下部を両手で傾ける

 

と主張していて、労災認定した労働基準監督署もこの作業で業務に

 

よると判断していました。

 

 

しかし、実際は230キロの容器にキャスターがついており、

 

これを移動させるだけの取り扱いをしており、この取り扱いでは

 

腰の負担は軽微なものとしたのです。

 

 

また、社員の腰痛は小学6年生のころに陸上競技が原因で痛めたもの

 

で、その後、慢性的な腰痛を抱えながら生活していたものであった。

 

 

以上により第1審と第2審が真逆の判断を行ったのです。

 

 

 

この事例から学ぶことは、労働基準監督署の労災認定には、会社が

 

関与できず、請求者(社員)の主張が通ってしまい、誤った判断が

 

下される恐れがあるということです。

 

 

実際に、コンテナ容器の重さは、約230キロであり、通達の

 

何倍もの重さであったが、取り扱いが吟味されたら腰への負担が

 

軽微であったのです。

 

 

もともと、裁判は司法の判断であり、労働基準監督署は行政の決定

 

なので、独立して機能するものです。

 

 

行政の判断で、司法が動かされることがあってはならないから、

 

判断が異なる事もあるということです。

 

 

また、第2審で注目することはコンテナ容器の取り扱いについて、

 

判断したことです。

 

 

重量物を動かすことが腰への負担が大きいとなりがちですが、

 

実際の作業で、細かい判断をして「負担は軽微である」と結論を

 

出しているということです。

 

 

 

 

もし、腰痛で問題が発生したら、

 

〇 取扱う貨物等が55キロを超えているか?

 

〇 腰痛を主張した社員が過去に同様の痛みを訴えていないか?

 

〇 過去の病歴等もヒアリングする

 

〇 業務による労災を主張されたら、事前に労働基準監督署に相談する

 

等をして、原因の見極めを行うことをおすすめします。

 

 

ここまでケアすれば、「何でもかんでも業務が原因」と主張される

 

ことが少なくなるでしょう。

 

 

もし、このような場面に遭遇したら、このメルマガを思い出して

 

対応して下さい。

 

 

 

 

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無断使用、無断転載を禁じます。

 

これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

昨年の臨時国会で外国人実習制度に関する法律の法改正が行われました。

 

 

今年の11月から新制度に移行することになり、監督体制が

 

大幅に強化されます。

 

 

事業共同組合など外国人の受け入れ団体である監理団体は

 

外部監査人の監査を受けなければ、業務が出来なくなるのです。

 

 

労働関連の法律の監査なので、この対応が急務です。

 

 

お困りの方がいらっしゃったら、ご連絡くださいね。

 

 

私どもで対応させていただきます。


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