社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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事業所を閉鎖しても解雇はできないのですか?


2017年8月15日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

皆さんは就業規則や雇用契約書などの作成でお困りではありませんか?

 

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では、今日は「事業所を閉鎖しても解雇はできないのですか?」

 

を解説します。

 

 

有効求人倍率もバブル期並みの状況ですが、どこの会社も好調と

 

いう訳ではなく、事務所を閉鎖したり、社員を異動させたりという

 

ことは頻繁に行われています。

 

 

先日も「営業所を閉鎖するのですが、そこの社員達をどのように

 

対応したらいいのか・・・。」というご相談もありました。

 

 

事業所等の閉鎖の場合、すぐに解雇する訳にはいきません。

 

 

まず考えなければならないのは、今、会社が置かれている状況を

 

社員に説明することから始めるのが良いでしょう。

 

 

そして、解雇を回避するための方法を検討しましょう。

 

 

別の事業所や異なる業務でも、社内で対応できるものは、

 

実行し、なるべく解雇等の実施を回避するという会社の

 

姿勢はとても重要なのです。

 

 

しかし、どうしても事業所閉鎖に伴う解雇を実施する場合、

 

しかるべきプロセスを踏む必要があります。

 

 

例えば、事前に退職をお願いするという「退職勧奨の実施」が

 

考えられます。

 

 

しかし、退職勧奨等にも応じてくれない場合はどのような対応

 

をしたらいいのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<ナショナル・ウエストミンスター銀行事件 東京地裁

 

 平成12年 1月21日>

 

 

〇 社員Aは外資系銀行の貿易金融業務に従事していた。

 

 

〇 会社は、競争激化に伴い社員Aが所属する部門を廃止する

 

  こととした。

 

 

〇 会社は社員らに対し、退職勧奨を行ったがAはこれを拒否した。

 

 

〇 関連会社への出向を申し入れたところ、Aは出向については

 

  承諾したものの、給与の減額を拒否し、前の労働条件の維持を

 

  主張した。

 

 

〇 その後、Aに対し、再就職支援の援助や特別退職金等の条件を

 

  提案して、雇用契約の合意解約の申し入れを行ったが合意には

 

  至らなかった。

 

 

〇 そして、会社はAに対し解雇通告をして解雇した。

 

 

〇 これについてAは、就業規則に根拠のないものであること、

 

  整理解雇の要件をいずれも満たしていないと主張し、

 

  裁判所に訴えた。

 

 

そして裁判所は以下の判断を下したのです。

 

 

〇 社員の申立てを却下する。

 

 

〇 申立費用は社員側の負担とする。

 

 

つまり、会社側の主張が通ったのです。

 

 

裁判所の判断を詳しくみてみると、「就業規則には解雇事由が列挙されて

 

いて、本件の該当する事実はなしだが、客観的に合理的な理由があるので

 

雇用契約を終了させることができる」と判断したのです。

 

 

また、今回の解雇は会社側の理由による整理解雇のため、整理解雇を

 

実施する場合の要件についての検討がされていました。

 

 

因みに整理解雇の要件は4つで以下となります。

 

 

〇 人員整理の必要性

 

〇 解雇回避努力

 

〇 被解雇者選定の妥当性

 

○ 協議、説明義務

 

 

部門の廃止に伴い、その部員に対する退職勧奨で、異動の考慮

 

状況の説明等でこれらの要件は満たしていると考えられました。

 

 

さらに、上乗せの退職金等の支払いで、「会社は、雇用契約終了後の

 

社員の当面の生活維持及び再就職の便宜のために相応の配慮をしたもの

 

と評価できる」としています。

 

 

よって、

 

〇 社員との雇用契約を解消することには合理的な理由がある

 

 

〇 会社はAの当面の生活維持及び再就職の便宜のために相応の配慮を

 

  行った

 

 

〇 雇用契約を解消せざるを得ない理由についてもAに繰り返し

 

  説明している

 

として、誠意をもった対応をしていることで総合的に考慮すれば

 

「解雇権の濫用」であるとはいえない。

 

 

 

つまり、解雇は有効だと結論づけたのです。

 

 

 

 

業務の縮小により、会社の拠点を減らすことは、経営上やむを得ない

 

場合があります。

 

 

そして、そこで働く社員について、「場所がなくなるから辞めてもらう」

 

ということが簡単にできないことがこの裁判事例でご理解頂けたと

 

思います。

 

 

しかし、整理解雇の要件を押さえ、対象となっていた社員に誠意を尽くし、

 

気持ちのある対応をすれば、たとえ解雇となり、裁判でもめても、

 

その行為は司法が認めてくれる場合もあるのです。

 

 

 

 

解雇等の裁判は「会社側がほとんど敗訴している」と言う話を

 

よく聞きますが、果たして事実でしょうか?

 

 

要件を守って、やるべきことを尽くせば、会社側の主張が通ることも

 

あるのです。

 

 

ただし、「面倒くさいから」、「どうぜクビだから」といった乱暴な

 

取扱いを実施したら、すぐに解雇権の濫用で「不当解雇」と判断され

 

てしまう可能性があります。

 

 

この部分のケアがトラブル防止に欠かせませんし、

 

会社の姿勢が問われる部分でもあるのです。

 

 

 

もし、皆さんの会社でこのような場面に遭遇したら、このメルマガを

 

読み返して下さい。

 

 

そして、外部の専門家と連携することをおすすめします。

 

 

なぜなら、プロセスの順番が違って、また、要件を飛ばしてしまっても

 

解雇が有効とならない場合があるからです。

 

 

さらに、規定等に沿った運用を行わないと、それだけで不法行為と

 

判断される場合があるのです。

 

 

 

 

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無断使用、無断転載を禁じます。

 

これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

お盆休み、いかがお過ごしですか?

 

 

海や山などに出かけている方も多くいらっしゃると思いますが、

 

私は普段の休みの延長といったところです。

 

 

少し前、お盆休みは全社でお休みという会社も、最近では、

 

社員はローテーションで夏季休暇をとるというところも増えています。

 

 

でも、会社が動いているときに休むとメール、電話が気になって

 

しまうのではないでしょうか?

 

 

スマホ等のインフラの発達で、休みだろうが、海外に行っていようが

 

タイムリーに情報が飛んできます。

 

 

私は、極力休みの時はメールをみないようにしています(笑)。


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