社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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私的なチャットを理由に解雇できますか?


2017年8月22日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

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では、今日は「私的なチャットを理由に解雇できますか?」

 

を解説します。

 

 

私語が多い社員がいれば、上司が直接注意を受けることは、

 

当たり前と言えば当たり前ですが、最近のコミュニケーションは

 

メール、チャット等を使用するものが目立ちます。

 

 

そして、チャットやメールの場合はパッと見、業務か私的な事なのか

 

判断がつきません。

 

 

そのため、このような場合は放置してしまい、後で「こんなにさぼって

 

いたんだ・・・」と発覚することがあります。

 

 

実際の裁判で、以下の事例があります。

 

 

<K工業技術専門学校事件 福岡高裁 平成17年9月14日>

 

 

専門学校の講師が学校から支給されたPCを使って出会い系

 

サイトに登録し知り合った女性と大量の私用メールを送受信

 

していた場合、解雇されたことは妥当と判断されました。

 

 

では、チャットの場合も同じでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<ドリームエクスチェンジ事件 東京地裁 平成28年12月28日>

 

 

〇 会社は社内連絡をPCのチャットを利用して運用していた。

 

 

○ 経理課長はチャットを使って業務中に7か月間で5万158回も

 

  業務とは関係ない内容でチャットを行っていた。

 

→ 社員に顧客情報を社外に持ち出すように指示した

 

→ 部下を誹謗中傷するもの

 

→ 女性社員について性的な誹謗中傷をするもの等

 

→ 1日に約2時間の私的なチャットを行っていたと考えられる

 

 

〇 チャットの相手方が社内の他の社員であった。

 

 

○ 会社は経理課長を「職務専念義務違反」で、懲戒解雇とした。

 

 

〇 経理課長は処分の無効を訴えて、裁判を起こした。

 

 

〇 すると会社は、業務中における業務外チャット時間が長時間で、

 

  給与が過払いであるとして、不当利得返還請求権等で反訴した。

 

→ 既払給与金15万8821円+遅延損害金

 

→ 不法行為の損害賠償請求権300万円+遅延損害金の支払いを求めた

 

 

そして、裁判所は以下の判断を下したのです。

 

 

〇 チャットは、その回数は異常に多いと言わざるを得ない。

 

 

〇 チャットの相手方が社内の他の従業員であることから、

 

  これまで特段の注意や指導を受けていなかったとしても、

 

  社会通念上、許される私語の範囲を逸脱したものである。

 

 

○ 職務専念義務に違反する。

 

 

○ 解雇は有効である(会社勝訴)。

 

 

しかし、私的チャット時間についての給与については以下の判断と

 

なったのです。

 

 

〇 チャットの使用は、いずれも同僚との間でなされたチャットである。

 

 

〇 私語として許容される範囲のチャットや業務遂行と並行して行っている。

 

 

〇 そのため明らかに業務と関係のない内容のチャットだけを長時間に

 

  亘って行っていた時間を特定することが困難である。

 

 

〇 所定労働時間外になされたチャットについても、会社の指揮命令下に

 

  おいてなされたものであり、労働時間に当たる。

 

 

〇 私的なチャットは自席のPCで行われているので、会社の指揮命令から

 

  外れていると言えず、法的には労働時間に当たる。

 

→ 給与の過払いは認められなかった

 

 

この裁判から言えることは、チャットの長時間使用はメール等と同じで

 

職務専念義務違反となります。

 

 

しかし、きちんと管理しないと上記の裁判のようになってしまいます。

 

 

管理をおろそかにすると、自席に座っているだけで、「業務」と

 

見なされてしまうのです。

 

 

実際の裁判でも、社長から「管理が甘かった・・・」との発言も

 

あったのです。

 

 

この場合、まずは就業規則にチャットの私的利用禁止を記載することが

 

必要だったのでしょう。

 

 

そして、モニタリング等の実施することも記載し、このような事態になる

 

前に対策を組む必要があったのです。

 

 

メール、チャット等のモニタリングを実施する場合、あらかじめ

 

モニタリングする場合があることを事前に社員に伝えましょう。

 

 

場合によってはプライバシーの侵害とされる場合もあります。

 

 

そうならないためにも、事前の告知が重要です。

 

 

 

 

会社のPCを使用した使用メールやチャットは基本的にNGですが、

 

それが社会通念上許容される範囲内である場合であれば、特段の問題は

 

ないと思われます。

 

 

裁判でも以下のものがあります。

 

 

上司を誹謗中傷する社内メールなどを1日あたり2通程度送信した事案

 

では、社会通念上相当な範囲にとどまるとして職務専念義務違反とは

 

いえないと判断されました。

 

(グレイワールドワイド事件 東京地裁 平成15年9月22日)

 

 

もっとも、常識の範囲でOKということであっても、基本的にはNG

 

なのですから、私的な理由での使用は極力避けるべきでしょうし、

 

許さないという会社の姿勢が大切です。

 

 

まずは、就業規則で私的なメール、チャットはNGであることを掲げ、

 

周知し、ルールとして守る姿勢を打ち出しましょう。

 

 

 

このように就業規則等で詳細を決めることは会社を守ることなのです。

 

 

人間関係がより複雑化し、ストレスによるうつ病患者も毎年増えている

 

状況において、会社と社員のトラブルも毎年、増加しています。

 

 

 

当然、私へのご相談もドンドン増えているのですが、多くの会社でポイント

 

になるのが「就業規則の不備」です。

 

 

 

就業規則はあるものの法改正に対応できておらず古いままであったり、

 

会社のリスクに配慮した形式になっていないことはよくあります。

 

 

この1文さえ就業規則にあれば、会社を守ることができたのに・・・。

 

そんなことも少なくありません。

 

 

あなたにとって大切なことは会社をトラブルから守ること、そして、社員も

 

守ることです。

 

 

そのためには、会社の状況に合った就業規則を作成することが必要なのです。

 

 

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ご注意ください。

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敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

夏らしい天候に見舞われないので、野菜の値段が高騰してますね。

 

 

また、プールや海の家なども客足がばったりで苦労されています。

 

 

夏はやはり「暑く」「日差しがガンガン」でなければならないのですね。

 

 

地球温暖化で酷暑と言われた今年の夏ですが、蓋を開けてみれば、

 

冷夏といったところでしょうか?

 

 

夏の終わりですが、残暑でもよいので、日差しがある気候になればと

 

思っています。  


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