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社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
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2017年9月19日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
おはようございます、社会保険労務士の内海です。
いつもありがとうございます。
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◆平成29年9月号(Vol.34)の内容
○ 休憩時間は労働時間では無いはずですが・・・
○ 会社が休業した場合、賃金をいくら支払うのでしょうか?
○ 事業所を閉鎖しても解雇はできないのですか?
○ 私的なチャットを理由に解雇できますか?
○ 期間途中で退職した社員への賞与支払いについて
では、今日は「こんな言葉がパワハラになるのです」を解説します。
パワハラ(パワーハラスメント)についてのご相談は、近年増加して
おります。
労働基準監督署の相談でも「いじめ、いやがらせ」の相談が
解雇や異動よりもここ数年で伸びている事実もあるのです。
数年前までは裁判でも、なかなか認められないのがパワハラと
言われていました。
しかし、最近、特に平成24年1月30日、厚生労働省の
職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告
が出てから、裁判もこれに沿った判断がなされるケースが増えてきました。
具体的な行為としては
〇 身体的な攻撃(暴行・傷害)
〇 精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
〇 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
〇 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能
なことの強制、仕事の妨害)
〇 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた
程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
〇 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
となっています。
この報告が出てから、パワハラに対する基準が変わり、
人格否定等の言動でも慰謝料等が認められるようになったのです。
これに関する直近の裁判があります。
<F社事件 長野地裁松本支部 平成29年5月17日>
〇 社長から在職中の社員4名がパワハラを受けた。
〇 パワハラの内容は人格を否定するような発言であった。
〇 社員達は、社長に民法の709条(不法行為)に該当し、
会社は会社法350条(代表者の行為についての損害賠償責任)
に該当するとし、裁判を起こした。
そして、裁判所の判断は以下となったのです。
〇 社長と会社は連帯して損害賠償等を支払え。
→ 社長と会社側が敗訴した
この裁判を詳しくみていきましょう。
パワハラの言動となったのは、主に社長の言動です。
具体的には以下となっています。
以下は社長が女性社員57歳に対しての発言です。
〇 私ができないと思ったら降格してもらいます。
〇 人間、歳を取ると性格も考え方も変わらない。
〇 自分の改革に抵抗する抵抗勢力は異動願いを出せ
〇 50代はもう性格も考えも変わらないから
〇 社員の入替えは必要だ。新陳代謝が良くなり活性化する。
〇 50代は転勤願いを出せ。
また、別の50代女性に対しても以下の発言がありました。
〇 事務員は営業会議の日に残業みたいな仕事をしていないで、
勉強会をしろ。おばさん達の井戸端会議じゃないんだから、
議事録を作れ。
〇 自身の夫と比べて自身の給与が高いと思わないのか。
〇 倉庫に行ってもらう
社長は裁判で、「社員に給与に見合う仕事をしてもらいたいので、
発言したに過ぎない」とのことでした。
しかし、社長の発言は裁判で、「不法行為に当たる」と
判断されたのです。
社員に対する人格否定が不法行為と判断されたのです。
ただし、社長の発言が「継続的」ではないとの判断で、
慰謝料等は減額(数十万程度)とされました。
この裁判は降格等の件も争われたのですが、発言そのものが
不法行為と判断されたのです。
このように、発言そのものがパワハラによる不法行為と認められる
時代となってきたのです。
今回の裁判は不法行為等により、慰謝料が減額されたのですが、
もし、パワハラを受けた社員等がメンタル不調にでもなったら、
問題は大きくなり、金額的なものも跳ね上がります。
そうならないためにもパワハラに限らず、ハラスメントについては、
予防が大事です。
会社として、ハラスメント予防に取り組んでいること、発生した場合の
迅速な対応ができる体制を取ることが重要となるのです。
以下に掲げたのはハラスメントの相談の流れとなります。
1.本人(相談者)との面談
面談にあたっては、必ずプライバシーが確保できる場所を準備します
秘密は絶対に守ります!
2.事実関係の確認
行為者ヒアリング:第三者ヒアリング(必ず本人(相談者)の
了解をとってから行います)
3.行為者、相談者への対応を検討
(例)「配置転換」「行為者謝罪」「関係改善援助」「不利益回復」
「職場環境回復」「メンタルケア」等
→ 懲戒に値する場合(就業規則〇条参照)
「減給」「降格」「譴責」「出勤停止」「諭旨解雇」「懲戒解雇」等
4.相談者、行為者へのフォロー
5.再発防止
以上の流れを守って、再発防止に取り組みましょう。
パワハラを代表とするハラスメントは今後、
基準等は厳しくなり、慎重な運用を求められるでしょう。
そのためにも、会社としてハラスメントの窓口を設置し、
予防対策を行い、社員に周知して運用しましょう。
ここを押さえることが、リスク回避につながることを
きちんと理解しましょう。
それから、就業規則の不備について、よくご相談をお受けします。
就業規則はあるものの法改正に対応できておらず古いまま
であったり、会社のリスクに配慮した形式になっていないことは
よくあります。
この1文さえ就業規則にあれば、会社を守ることができたのに・・・。
そんなことも少なくありません。
あなたにとって大切なことは会社をトラブルから守ること、
そして、社員も守ることです。
そのためには、会社の状況に合った就業規則を作成することが
必要なのです。
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無断使用、無断転載を禁じます。
これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、
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取締役・社労士 内海正人(うつみまさと)
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また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、
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■編集後記
先週9月14日の日経新聞に新たな助成金の記事がありました。
中小企業が対象で、残業時間を削減して、休日を増やした会社に
最大200万円の助成をするとのことでした。
名称は「時間外労働等改善助成金」とのことです。
勤怠管理のソフトの購入等で生産性を高める為の設備投資に
充当させるのが狙いとのことです。
新たなものが出てきました。
詳細が分かったら、また、ご連絡します。
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