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社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
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2018年3月 6日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
皆さん、おはようございます。
社会保険労務士の内海正人です。
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○ 60歳前後で賃金格差があるのは違法ですか?
○ 賞与支給はいつまでに在籍した人に支払うのでしょうか?
○ 残業は時間管理だけでは足りません?
○ 過重労働の認定基準とは?
○ 時間外労働の上限規制等について
では、今日は「昇給停止は不利益変更なのでしょうか?」を解説します。
「年配者の給料が高すぎるので、給与体系を変更した」
上記のようなご相談をお受けすることがよくあります。
給与体系を変更することは、一部の社員には大きな不利益変更
となる可能性もあり、なかなか会社として取り組むのが難しく
放置してしまうことも多くあります。
給与体系の設計で、職能資格制度が有名で、
この制度は職能に対して対価が支払われるとなっています。
しかし、個人の職能の能力の上限は年齢的には40歳ぐらいで
頭打ちとなり、その後は組織やチームのリーダーとしてのポジション
に対して、その責任に比例して金額が増加する体系となっています。
だから、年功序列といっても、単に加齢とともに金額を青天井で
上げるということではありません。
また、バブル前後で社員の賃金を大幅に上げてしまい、その後は
景気が低迷し、ベースアップも難しい状況となってしまったので、
この前後の社員の賃金格差が現在も影響している会社も多いです。
大幅な給与体系の変更は難しいのですが、定期昇給等で調整を
図って、バランスを考慮する等のやり方もあります。
しかし、賃金規定に賃金テーブルが記載されており、年齢に対して、
基本給が決まる制度であれば、「規定通りの運用」が求められます。
となると、ある程度の改訂が必要となってきます。
しかし、定期昇給をストップすることは労働条件の不利益変更と
なるので有効なのでしょうか?
これに関する裁判があります。
<紀北川上農協事件 大阪地裁 平成29年4月10日>
〇 元職員Aら10人は平成27年4月1日までに定年等で
農協を退職した者である。
〇 農協は平成14年以降、給与規定を改定し、満57歳に達した
職員をスタッフ職とする制度を設立する変更を行った。
→ 基本給はスタッフ職移行直前の額と同額
→ 賞与は原則、支給しない
→ 定期昇給は実施しない
→ 全職員研修会で説明等を行った
〇 変更の時点で労働組合は反対の意思表示はしなかった。
〇 変更後、各支店には就業規則等が備え付けられており、
社内イントラネットでも閲覧可能であった。
〇 Aらは平成21年~平成24年にスタッフ職となったが、
制度変更に不服を述べたことはなかった。
〇 Aらは退職後、「この変更は労働条件の不利益変更
である」とし、定期昇給が実施されたことを前提とした
未払賃金、賞与及び遅延損害金の支払いを求めて裁判を起こした。
そして、裁判所は以下の判断を下したのです。
〇 労働条件の変更は不利益に変更するものであるが、
変更時に説明会を実施し、その後、変更後の規定類が
各支店で閲覧可能な状態だったので周知された。
〇 変更で、定期昇給の実施が完全に失われたわけではない。
〇 不利益の程度が大きいとまでは言えない。
〇 変更後の内容が相当性を欠いているとは認められない。
〇 制度変更後10年以上運用されていて、定着している。
以上により、定期昇給、賞与無しの改訂は有効と判断されたのです。
この裁判のポイントは労働条件の件で、「将来にわたり、定期昇給、
賞与支給が抑制されるのは不利益変更に該当するか」ということです。
単に賃金等を下げることは、労働条件の不利益変更に該当しますが、
本件では、「不利益変更では無い」と判断しています。
その理由は以下がポイントとなっています。
〇 労働者の不利益の程度が軽い
〇 労働組合との交渉状況で、反対の意思が示されていない
〇 就業規則等の変更について、説明会の実施、閲覧可能な状況等
相応に考慮されている
これらの要素を踏まえて、制度変更が有効と判断されたのです。
この裁判を参考に、給与等の制度変更で考えることは、上記の3つが
柱となるでしょう。
具体的な方法として、
1.変更について、労働者が受ける影響の程度を検証する
→ 大きければ経過措置を置く
2.変更案ができたら、労働組合、労働者代表の意見を聞き、
反対意見等も集める
→ 再度検討が必要ならば、さらなる変更案を提出する
3.変更案が固まれば社員向けに説明会を実施し、全員が参加できる
ように複数回実施する。
4.変更後、各支店に備え付け、いつでも閲覧可能な環境を整える
→ イントラネット等での閲覧可能な状況とする
以上のような対応を実施することが必須です。
変更後のケアも念頭に置き、社内において明確な説明を行い、
それを理解してくれる社員を増やす努力が経営側にもとめられ、
その努力が制度の定着を生むと考えられます。
労働環境は時代と共に変化していきます。
最近では数年間という単位で、考えが変わるものもあります。
制度などは1度作るとなかなか変更しづらい部分もありますが、
時代の変化に対応できる仕組みを持たないと、生き残れない
可能性が高くなります。
特に感じるのは「労働時間」のとらえ方、給与の考え方で「成果」に
結びつくのか?時間に結び付くのか?の判断です。
政策の働き方改革の流れを注意深く見守る必要があります。
また、採用についてもよくご相談をお受けします。
入社したら、すぐに出社できなくなり、実は精神疾患を
患っていた等のご相談を受けました。
面接で確認すべきことは人物評価などだけではなく、
【法的なポイント】も重要なのです。
むしろ、その方が重要なこともよくあるのです。
正直なところ、ここをないがしろにし、性善説に立ち過ぎた
採用活動を行なっていくと、落とし穴に落ちる確率が非常に
高くなるのです。
そして、事が起こってから、私に相談にいらっしゃることも
本当に多いのです。
さらに、ご相談に対応していて思うことが「基本的なことの
保全さえできていれば、こんなに傷口を広げずに済んだのに・・・」
ということです。
本当に本当に歯がゆい思いを何度も何度もしてきたのです。
このDVDは面接、採用に関して法的に保全すべきポイントを
多角的に解説しています。
また、「会社の出口」である解雇に関しても「法的な保全が甘い」と
いうことがよくあり、結果として、トラブルになった場合は傷口を
広げることになります。
そこで、会社の「入口」、「出口」の両方を保全するという
意味から、解雇についても解説しているのです。
採用・面接の極意と戦略的解雇の方法セミナーを収録した
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取締役・社労士 内海正人(うつみまさと)
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■編集後記
季節の変わり目で、寒かったり、暖かかったりと寒暖の差が激しい
ですね。
また、花粉も飛び始めていて、目がしょぼしょぼします(笑)
そんな中、首相の国会では裁量労働のデータ間違いで、荒れています。
第一次安倍内閣では「年金問題」で大騒ぎをし、今回は「裁量労働制」
でしょうか?
さらに、働き方改革の実施が伸びるかもしれないとのことで、
具体的に仕事に影響が出るかもしれないと感じています。
何やら周辺が騒がしくなってきていますね。
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