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社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所
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2018年3月20日 投稿者:社会保険労務士 内海 正人
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では、今日は「会社解散に伴う解雇の判断基準とは?」
を解説します。
会社の運営が継続できなくなった場合、従業員を解雇するのは
当然と考えられますが、果たして解雇できるのでしょうか?
例えば計画倒産のような場合、事業を引き継ぐ会社が元の経営陣
とさほど変わりないということがあります。
しかし、従業員は解雇して、再雇用等はさせない場合、解雇権の
濫用と言われる可能性があるのです。
そこで、会社を解散する際に検討する基準として、
整理解雇の要件があります。
ます、この整理解雇の要件についてみましょう。
整理解雇とは、事業不振を理由に事業再建を行なう場合、
その一環として、人員整理を行うことです。
そして、整理解雇は、解雇される本人達に何の責任もないため、
法的な要件がかせられているのです。
それが次の「整理解雇の4要件」です。
(1)人員整理の必要性
余剰人員の整理解雇を行うためには、削減をしなければ、
経営を維持できないという必要性が無ければならない。
(2)解雇回避努力義務の履行
社員の人員整理は最終手段であり、整理解雇を回避するための
経営努力がなされ、人員整理に着手することがやむを得ないと
判断される必要がある。
(3)被解雇者選定の合理性
解雇するための人選基準が合理的で、かつ、公平でなければ
ならない。
例えば、勤務成績を人選基準とする場合、基準の客観性、
合理性が問題となる。
(4)手続の妥当性
整理解雇については、社員に原因は無いから、会社は社員や
労働組合と協議し、説明する義務を負う。
説明、協議、納得を得るための手順を踏まない整理解雇は、
他の要件を満たしても無効とされるケースも多い。
整理解雇はこの4つの要件の「全て」を満たさないと無効と
される場合が多いのです。
ただし、裁判によっては4要件を厳格に運用しないケースもあり、
○ 人員整理の必要性のみで判断する場合
○ 配置転換や手続の妥当性を考慮に入れて判断している場合
もあります。
これに関する裁判があります。
<三陸ハーネス事件 仙台地裁 平成17年12月15日>
〇 会社の主要な取引先が拠点を海外に移したため、事業廃止により、
全社員を解雇することを決めた
〇 解雇される社員に特別加算した退職金を提示し、また、再就職支援
の相談会等を実施
〇 社員の一部が解雇の有効性を争点とし、裁判を起こした
そして、裁判所は以下の判断をしました。
〇 会社は、その事業を廃止するか否かについて自由に決める権利がある
〇 事業廃止が自由だからと言っても、社員全員を解雇することが自由に
できるわけではない
→ 解雇するには客観的、合理的な理由が必要であり、社会通念上相当で
あること
〇 本件の解雇は権利の濫用とは認められず、会社側が勝訴した
この裁判で、社員側は「整理解雇の4要件が満たされていないから、
解雇権の濫用である」と主張していました。
しかし、裁判所の判断は上記(1)の「人員整理の必要性」について、
「ここで問題となるのは『人員整理の必要性』ではなく、『全ての事業を
廃止する必要性』である」と判断したのです。
このことにより、整理解雇の4要件そのものを議論するのではなく、
会社が事業を廃止することの合理性、解雇の手続きが妥当であったか
否か等がポイントとなったのです。
このように状況によって、整理解雇の4要件を満たさなければ、
整理解雇ができない、ということではないのです。
最近の裁判で、以下のものもあります。
<社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会事件 東京地裁
平成29年8月10日>
〇 社会福祉法人と労働契約を締結していた元職員らA、Bが、
法人のした解雇が無効である旨をそれぞれ主張した。
〇 法人に対し、Aらそれぞれが労働契約上の権利を有する地位に
あることの確認及び本件各解雇後の賃金の支払をそれぞれ求める
とともに、本件各解雇が無効であることを主張した。
〇 法人解散後、事業を引き継いだ連合会とは実質的に同一である旨
を主張して、法人格否認の法理により、連合会に対し、同様の
請求を行った。
〇 あわせて、Aらは、法人及び連合会が共謀して不当な解雇を行い、
Aらそれぞれに対する不法行為を行った旨を主張して、
法人及び連合会に精神的損害の賠償等の支払を求めた。
そして、裁判所は以下の判断を下したのです。
〇 解雇は法人解散に伴い行われた。
〇 整理解雇の要件に合致している。
〇 解雇は有効である。
→ 法人側が勝訴した
この裁判を詳しくみてみましょう。
まず、法人は基本財産の取崩しが恒常化している中で、近い将来に
経営が困難となると判断したことは、客観的な根拠に裏付けられたもの
である。
そして、法人は解散することに伴い、人員削減の必要性があり、
希望退職の募集を行い、応募した者には退職金を増額し、さらに
100万円を支給した。
これを受け募集を受けた職員ら合計6名のうち、Aらを除く4名は、
上記希望退職の募集に応じました。
法人はAらの解雇を回避するための措置及びこれに代わるAらの
負担の軽減のための合理的な措置を行っていたのです。
さらに、Aらを除く4名が退職したので、解雇に係る人選の合理性に
欠けるところはないと判断しました。
そして、法人は組合に対し、団体交渉に応じる意向を示し、Aらに対し、
相応の説明をしていることをも踏まえると、解雇は客観的に合理的な
理由があり社会通念上相当なものとして有効と判断したのです。
また、法人が解散し事務局を廃止して職員を全員解雇するとの判断が
合理的なものであることは全従業員との雇用契約を終了させたことから、
不当な目的があったとは認め難いと判断もしたのです。
よって解雇は有効であるから、Aらの法人に対する労働契約上の
権利を有する地位にあることの確認の請求及び解雇後の賃金の
支払の請求には理由がないとしたのです。
この裁判でも、整理解雇の4要件が細かく検証されています。
この4要件について、事例によっては全てを満たしていなくてもOK
と考えられがちですが、これから会社の解散や事業の停止、整理解雇
を検討する場合は「必須」と考えましょう。
この要件に沿って、タイムスケジュールを考え、専門家を交えて
検証し実行することをおすすめします。
仮に、1つでも踏み外してしまったら、有効と判断されるものも
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■編集後記
桜の開花がニュースになる時期がやってきました。
ただ、スギ花粉もピークで、私は目がショボショボして、
辛いです・・・。
ただ、以前はくしゃみもひどくて、この時期は薬が必須でしたが、
数年前からヨーグルトと黒酢のサプリメントを飲んで、
この効き目がどうかはわかりませんが、改善されました。
今は薬は飲んでいません!
ただし、今年の花粉は量が多いようで、本当に目が疲れます・・・。
こればかりは我慢するしかないですね。
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