社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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懲戒発覚を恐れた退職の処理について


2018年5月29日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

皆さんは就業規則や雇用契約書などの作成でお困りでは

 

ありませんか?

 

 

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では、今日は「懲戒発覚を恐れた退職の処理について」を

 

解説します。

 

 

先日、次のご相談がありました。

 

 

「懲戒発覚を恐れて、退職をした社員の処分について、退職金の

 

減額等は可能でしょうか?」

 

 

 

 

退職した後に在職中に行ったことが明らかになり、

 

「逃げられた」、「やられた」となることがあります。

 

 

こんな時、制裁を実行したいと考えますが、すでに社員は退職済みで、

 

打つ手が限られてしまいます。

 

 

そこで、「退職金が減額できないか?」として、最後の一手を

 

考えることになります。

 

 

 

 

しかし、退職金は簡単に減額できるのでしょうか?

 

 

そもそも、退職金は、就業規則等の定めや労使慣行または

 

労使の合意により支給基準が明確になっていれば「賃金」に該当します。

 

 

そして、退職金は退職時に初めて権利として発生します。

 

 

競業避止義務違反の場合や懲戒解雇の場合には、その支給が制限される

 

規定を設けることも可能ですが、具体的な適用場面では、競業避止の

 

内容や懲戒解雇の事由に照らして適用が制限されることがあります。

 

 

その他、退職金は賃金よりも時効期間が5年と長いこと、保全措置を

 

設ける努力義務が課されているのです。

 

 

 

具体的に退職金減額、不支給が問題となるのは、競業避止義務違反

 

による退職金没収、減額条項の適用場面や懲戒解雇による退職金

 

不支給規定の適用する場合と考えられます。

 

 

そして、退職金減額、不支給とする労働協約、就業規則等や個別合意が

 

ない場合には、原則として退職金を不支給とすることはできません。

 

 

どんなに悪いことをして、懲戒対象となる事由が明らかになっても、

 

本当に減額又は不支給はできないのでしょうか?

 

 

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<医療法人貴会事件 大阪地裁 平成28年12月9日>

 

 

〇 職員Aは、医療事務を担当していた。

 

 

〇 Aは「診療情報の改ざん」を問いただされた後、すぐに

 

  退職届を提出して辞めていった。

 

 

〇 法人は「退職後に懲戒解雇事由が発覚した」として、

 

  「退職金なし」と決定した。

 

 

〇 Aは退職金を請求し、全額の支払いを求め裁判を起こした。

 

 

〇 規定では懲戒解雇時のみ不支給としていた。

 

 

そして、裁判所は以下の判断をしました。

 

 

〇 Aと法人の関係は、退職届により労働契約は終了した。

 

 

〇 しかし、発覚した診療情報の改ざんは懲戒解雇相当である。

 

 

〇 法人の退職金は賃金の後払いの性質とともに功労報償的性格を

 

  有する。

 

 

〇 退職金の5割を超える請求を権利濫用として判断した。

 

→ 5割は支給しなさいとなった

 

 

〇 結果、懲戒解雇相当の事案でも半額の250万円の支払いを

 

  命じた。

 

 

この裁判を詳しくみていきましょう。

 

 

この裁判でのポイントは「退職金減額、不支給」の問題です。

 

 

これが問題となるのは一般的に「競業避止義務違反による退職金没収、

 

減額条項の適用」や「懲戒解雇による退職金不支給規定の適用」の

 

場面です。

 

 

そもそも、退職金減額、不支給とする労働協約、就業規則等や

 

個別合意もない場合には、原則として退職金を減額したり、不支給と

 

することはできません。

 

 

この法人の退職金規定では、

 

「在職中に懲戒解雇事由該当行為があった場合には、退職金

 

の全部または一部を支給しない。支給後であれば、全部または

 

一部の返還を求める」となっていました。

 

 

この根拠規定で、減額が可能となったのです。

 

 

しかし、懲戒解雇事由に該当すると裁判で認められても、

 

100%不支給とはなりませんでした。

 

 

その理由は、「Aは19年余の功労を全部抹消するほどに重大な事由

 

であるとはいえない」ということでした。

 

 

結論として解雇相当でも法人からAに対して「半額の支払い」を

 

命じたのです。

 

 

 

 

退職金に関しては、規程上、「どのように請求権が発生するのか?」

 

がポイントとなります。

 

 

事例の裁判では、賃金後払い、功労の性質と判断されました。

 

 

※ 別の考え方では「生活保障」的性格と言うのがあり、

 

  これは退職金が労働者の失業中ないし退職後の生活を

 

  保障する側面があるためです。 

 

 

そして、退職時に支給制限を可能とする規定を整備することが

 

トラブルを起こさせないポイントとなるのです。

 

 

それも、「単に支給しない」ではなく、減額する幅も考えて、

 

条文を作成することをおすすめします。

 

 

過去の裁判で、「懲戒解雇をした場合のみの支給制限規定」しかなく、

 

退職時の支給制限規定が無ければ、規定上の退職金請求権が

 

発生することになるのです。

 

 

アイ・ケイ・ビー事件(東京地裁 平成6年6月21日)では、

 

「不支給の根拠条文が無い以上、不支給は許されない」といった

 

判断がなされています。

 

 

 

 

退職金の問題は、規程の整備ができているか?否か?によって

 

大きく結果が異なるところでもあります。

 

 

また、金額そのものが大きい場合も多いので、細かいところまで、

 

ルール化することをお勧めします。

 

 

皆さんの会社の退職金規程を今一度見直す必要があるかも

 

知れませんね。

 

 

 

 

また、採用についてもよくご相談をお受けします。

 

 

入社したら、すぐに出社できなくなり、実は精神疾患を

 

患っていた等のご相談を受けました。

 

 

面接で確認すべきことは人物評価などだけではなく、

 

【法的なポイント】も重要なのです。

 

 

むしろ、その方が重要なこともよくあるのです。

 

 

正直なところ、ここをないがしろにし、性善説に立ち過ぎた

 

採用活動を行なっていくと、落とし穴に落ちる確率が非常に

 

高くなるのです。

 

 

そして、事が起こってから、私に相談にいらっしゃることも

 

本当に多いのです。

 

 

さらに、ご相談に対応していて思うことが「基本的なことの

 

保全さえできていれば、こんなに傷口を広げずに済んだのに・・・」

 

ということです。

 

 

本当に本当に歯がゆい思いを何度も何度もしてきたのです。

 

 

このDVDは面接、採用に関して法的に保全すべきポイントを

 

多角的に解説しています。

 

 

また、「会社の出口」である解雇に関しても「法的な保全が甘い」と

 

いうことがよくあり、結果として、トラブルになった場合は傷口を

 

広げることになります。

 

 

そこで、会社の「入口」、「出口」の両方を保全するという

 

意味から、解雇についても解説しているのです。

 

 

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ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

働き方改革関連法案がいよいよやってきます!

 

 

残業の規制、、同一労働同一賃金、プロフェッショナル人材に

 

対する残業免除など、いろいろな規制などが盛り込まれています。

 

 

その中で「年次有給休暇の強制消化」の義務付けが入っていますが、

 

この問題、地味に会社を悩ませることとなる気がします。 

 

 

予定では2019年4月からですが、早めの準備を行わないと

 

来年になって、「知らなかった!」では済まないかも知れません・・・。

 

 

会社の休暇制度全体の中から見直す事をおすすめします。

 

 

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