社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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過酷な研修は問題ですか?


2018年6月26日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

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では、今日は「過酷な研修は問題ですか?」を

 

解説します。

 

 

先日、ある社長とお話しをしていたら、次のような発言がありました。

 

 

「働き方改革で労働時間を減らせ!と言われていますが、

 

このままでは軟弱な社員ばかりになってしまいます。

 

 

これは打破するために、精神的、肉体的に厳しい研修を

 

実施して、精神を鍛えたい。」

 

 

確かに、働き方改革で「残業時間の規制が強化」され、

 

過重労働は「即罰則」と考えられます。

 

 

しかし、多くの社長から「仕事の量をこなさないと質の向上が

 

のぞめない」と言う意見もあります。

 

 

このような状況で営業や業務の効率を上げるための研修に

 

ついてのご相談も多いですが、精神を鍛えるというのは、

 

なかなか難しいと考えらえます。

 

 

 

 

そして、参考となる裁判が以下になります。

 

 

<サニックス事件 広島地裁福山支部 平成30年2月22日>

 

 

〇 会社に中途入社した社員Aが新人研修を受講した。

 

 

〇 研修中は研修センターに宿泊しなければならず、

 

  外出等も禁止されていた。

 

 

〇 研修内容に「24キロを5時間以内で歩くプログラム」

 

  があった。

 

 

→ 水は用意したが、所持金は持たしてもらえなかった

 

 

→ 「地獄の研修」と称されていた

 

 

〇 社員Aはこれに臨み、4時間51分で歩ききった。

 

 

→ 社員Aは48歳、身長171センチ、体重101キロであった

 

 

→ 完歩しないと正社員にはなれないといわれていた

 

 

〇 その後、病院で右足関節離断性骨軟骨炎などと診断され、

 

  足の一部の関節の可動範囲が狭まるなど両足に障害が残った。

 

 

〇 社員Aは会社に対し、安全配慮義務違反に基づく損害賠償金

 

  の支払いを求めた。

 

 

そして、裁判所は以下の判断を下したのです。

 

 

〇 足の障害は研修によるものと認定。

 

 

〇 参加者の個人差や運動経験に配慮していない点で、無理がある

 

  プログラムと指摘した。

 

 

〇 事前の訓練で痛みを訴えたのに中断させず、医師の診察も

 

  受けさせなかったことは安全配慮義務違反にあたる。

 

 

〇 1,592万円の賠償を命じた。

 

 

この裁判を詳しくみていきましょう。

 

 

まず、歩行訓練ですが、参加者の年齢が幅広く、体力にも大きな

 

差があるにも関わらず、個人差や運動経験の有無等を全く配慮

 

していない点で、無理があるプログラムと判断されました。

 

 

また、研修中は外出禁止ということで、自ら医療機関に行く

 

機会を奪っていたし、会社側から医療機関への受診させることに

 

積極的ではなかった。

 

 

研修を受ける者は毎日、健康状態チェック表や業務日報を提出

 

させていて、社員Aは膝と足首の痛みを訴えていたのです。

 

 

さらに、社員Aは体重が100キロ近くあり、「無理な運動を

 

させれば負傷する可能性が高いことを十分認識していたにもかかわらず、

 

無理なプログラムを組んだ」と指摘しました。

 

 

 

さらに、裁判所は

 

〇 水の準備のみ

 

〇 ジュース等を買うための所持金されも持たされない

 

〇 医師の意見を聴取することもない

 

〇 救護体制が整っていない

 

などで安全配慮義務違反と判断したのです。

 

 

 

ただし、裁判所としても「あきらめない、最後までやり通す社員の

 

養成を目指す」と言う研修目的は是認できるとしています。

 

 

しかし、このような「地獄の訓練」と称されていた歩行訓練を

 

行うのであればそれなりの体制、準備が必要となるのです。

 

 

 

 

今回の事例の裁判の結果を踏まえ、肉体的な負荷のかかる

 

訓練実施の際の安全配慮義務の内容は以下となります。

 

 

〇 事前の教育を実施すること

 

 

〇 訓練に耐えうる身体能力の有無

 

 

〇 健康状態の確認

 

 

〇 訓練内容の相当性

 

 

→ 訓練で何を学ぶのか

 

 

〇 訓練中の安全管理体制

 

 

〇 救急医療体制

 

 

〇 傷病発生後の救護措置

 

 

これらのことを踏まえて、いろいろな事を想定し、

 

備えることが重要なのです。

 

 

 

最近はこのような研修、訓練が少なくなっているかも知れませんが、

 

今回の事例の裁判でも「あきらめない、最後までやり通す社員の

 

養成を目指す」ことは是認されています。

 

 

言い換えると、肉体的に負荷がかかる研修のすべてが否定

 

されているわけではないということです。

 

 

方法、ケア等を間違えないで実施することが重要なのです。

 

 

 

 

また、採用についてもよくご相談をお受けします。

 

 

入社したら、すぐに出社できなくなり、実は精神疾患を

 

患っていた等のご相談を受けました。

 

 

面接で確認すべきことは人物評価などだけではなく、

 

【法的なポイント】も重要なのです。

 

 

むしろ、その方が重要なこともよくあるのです。

 

 

正直なところ、ここをないがしろにし、性善説に立ち過ぎた

 

採用活動を行なっていくと、落とし穴に落ちる確率が非常に

 

高くなるのです。

 

 

そして、事が起こってから、私に相談にいらっしゃることも

 

本当に多いのです。

 

 

さらに、ご相談に対応していて思うことが「基本的なことの

 

保全さえできていれば、こんなに傷口を広げずに済んだのに・・・」

 

ということです。

 

 

本当に本当に歯がゆい思いを何度も何度もしてきたのです。

 

 

このDVDは面接、採用に関して法的に保全すべきポイントを

 

多角的に解説しています。

 

 

また、「会社の出口」である解雇に関しても「法的な保全が甘い」と

 

いうことがよくあり、結果として、トラブルになった場合は傷口を

 

広げることになります。

 

 

そこで、会社の「入口」、「出口」の両方を保全するという

 

意味から、解雇についても解説しているのです。

 

 

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無断使用、無断転載を禁じます。

 

これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

6月19日の日経新聞に以下の記事がありました。

 

 

「都内零細企業、6割が就業規則なし東京中小同友会調べ」

 

以下が記事内容です。

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東京都内の零細企業で就業規則を整備していない企業が6割に

 

上ることが分かった。

 

 

東京中小企業家同友会(東京・千代田)が19日発表した。

 

 

政府の進める働き方改革関連法案が成立を控えるなか、

 

中小の働く環境の整備が追いついていない実態を浮き彫りにした。

 

 

同友会の会員企業に4月に調査し4464社が回答した。

 

 

調査では従業員5人以下の企業で就業規則がない企業が63%に上った。

 

 

6人以上の企業ではほぼすべてが整備済みで回答が二極化した。

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零細企業だからといって、法律が緩和される訳でもなく、

 

働き方改革で労務管理はそんな企業も必須となります。

 

 

そのために、まずは就業規則を作成し、整備することをおすすめ

 

いたします。 

 

 

 

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