社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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諭旨解雇から懲戒解雇に切り替え時の注意点とは?


2018年7月24日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


 

おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

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今日は「諭旨解雇から懲戒解雇に切り替え時の注意点とは?」

 

を解説します。

 

 

諭旨(ゆし)解雇という言葉をご存知でしょうか?

 

 

諭旨解雇とは懲戒処分の一種で労働者を一方的に解雇する

 

懲戒解雇よりも一段軽い処分のことを指します。

 

 

処分の対象となる労働者に対し、将来の影響を考慮し退職願や辞表の

 

提出を促すことで、解雇ではなく「退職」という形を認めることです。

 

 

ただし、通常の自主退職とは違い「諭旨退職」という形になるのです。

 

 

 

 

では、懲戒解雇と諭旨解雇の違いをみていきましょう。

 

 

諭旨解雇と懲戒解雇の違いは、諭旨解雇は最も重い処分である

 

懲戒解雇に相当する程度の事由がありながらも軽減した措置の

 

ことをいいます。

 

 

懲戒解雇は労働者にとって一方的な会社の判断ですが、

 

諭旨解雇は使用者と労働者の双方が話し合いで解雇処分を

 

受け入れるものとなっています。

 

 

そして、諭旨解雇を受け入れれば、そのまま退職へと向かいますが、

 

これを拒否したら、即、懲戒解雇なのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<国立大学法人群馬大学事件 前橋地裁 平成29年10月4日>

 

 

〇 教授であったAは、パワハラ、セクハラ等の行為が存在した。

 

 

〇 大学側はこれを理由に諭旨解雇処分をする旨を本人に

 

  告げた。

 

 

〇 懲戒処分書と処分説明書を交付し、諭旨解雇の応諾書、

 

  又は応諾拒否書のいずれかに一方にサインをするように

 

  求めた。

 

 

〇 Aはいったん持ち帰ってから,諭旨解雇に応じるかを

 

  検討したいと回答した。

 

 

〇 諭旨解雇を告げられてから1時間後に諭旨解雇の応諾書に

 

  サインすることなくAは帰宅しようとしたので、大学はAに

 

  対し、懲戒解雇を告げた。

 

 

→ 諭旨解雇を告げてから1時間後にAが応じなかったので

 

  懲戒解雇とした

 

 

〇 Aは「解雇は無効である」と主張し、裁判所に訴えた。

 

 

そして、裁判所の判断は以下となりました。

 

 

〇 解雇手続きが就業規則の規定に違反した違法な処分である。

 

→ 規定では「退職願の提出を勧告して解雇する。ただし、勧告に

 

  応じない場合には、懲戒解雇する」となっていた

 

→ Aが大学から帰宅しようとした時点では「勧告に応じない」

 

  と断定できないと考えられ、手続きが違法と判断された

 

 

〇 諭旨解雇の勧告から、懲戒解雇を告げるまで1時間であった。

 

 

〇 ハラスメントについて、内容と回数は限定的であり、いずれの行為

 

  も適正な範囲は超えているが、必要性が全く欠くものではない。

 

 

〇 ハラスメントは行き過ぎはあったが、嫌がらせに基づいて

 

  なされたものではなく、悪質性も低い。

 

 

〇 本件、懲戒解雇は解雇権の濫用するものである。

 

 

この裁判を詳しくみていきましょう。

 

 

大学はAが諭旨解雇に応じるか否かを検討するのに

 

必要な時間を聞き取り、回答期限を設定すべきであったが、

 

これをしていないことで解雇手続に違法があったと判断しました。

 

 

さらにAは、パワハラやセクハラの内容や回数が限定的で、

 

業務上の必要性が全くないわけでなく、嫌がらせをする目的が

 

あったわけでもないため悪質性が低いと判断されたのです。

 

 

そして、Aは過去に懲戒処分を受けたことがなく、

 

ハラスメントの一部を認めて反省の意思を示していました。

 

 

そのため,Aに対して、懲戒解雇は処分として重すぎると

 

判断されて結果として、懲戒解雇は無効と判断されたのです。

 

 

 

 

懲戒解雇は従業員に対し、経済的にも社会的にも大きな損失を

 

与えるので、裁判ではかなり慎重に審査されます。

 

 

諭旨解雇であれば退職金が支払われることがありますが、

 

懲戒解雇の場合は原則として退職金などは支給されません。

 

 

また、懲戒解雇の場合は再就職時の履歴書等に「賞罰有り」と

 

記載しなければいけません。

 

 

なぜなら労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇だからです。

 

 

懲戒解雇されるとその後のキャリア形成は困難になります。

 

 

どんなに優秀でも、「賞罰有り」の人材を採用する会社は

 

少ないでしょう。

 

 

さらに、履歴書未記入で面接時に説明しなくても離職票に「重責解雇」

 

と記載されますので再就職は困難になります。

 

 

この理由が離職票の離職理由に記載されるので、仮に面接を

 

切り抜けても真実が発覚する可能性は大きいのです。

 

 

 

 

極めて重大な懲戒事由がある場合は、最も重い懲戒解雇も

 

やむを得ませんが、従業員の今後も考えて慎重に取り扱う

 

必要があるでしょう。

 

 

まして、裁判となると、手続きのプロセス、理由の存在等の

 

厳しいチェックを受けることとなりますので、ご注意下さい。

 

 

 

 

また、採用についてもよくご相談をお受けします。

 

 

入社したら、すぐに出社できなくなり、実は精神疾患を

 

患っていた等のご相談を受けました。

 

 

面接で確認すべきことは人物評価などだけではなく、

 

【法的なポイント】も重要なのです。

 

 

むしろ、その方が重要なこともよくあるのです。

 

 

正直なところ、ここをないがしろにし、性善説に立ち過ぎた

 

採用活動を行なっていくと、落とし穴に落ちる確率が非常に

 

高くなるのです。

 

 

そして、事が起こってから、私に相談にいらっしゃることも

 

本当に多いのです。

 

 

さらに、ご相談に対応していて思うことが「基本的なことの

 

保全さえできていれば、こんなに傷口を広げずに済んだのに・・・」

 

ということです。

 

 

本当に本当に歯がゆい思いを何度も何度もしてきたのです。

 

 

このDVDは面接、採用に関して法的に保全すべきポイントを

 

多角的に解説しています。

 

 

また、「会社の出口」である解雇に関しても「法的な保全が甘い」と

 

いうことがよくあり、結果として、トラブルになった場合は傷口を

 

広げることになります。

 

 

そこで、会社の「入口」、「出口」の両方を保全するという

 

意味から、解雇についても解説しているのです。

 

 

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ご注意ください。

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

フリーアドレスという言葉を聞いたことはありますか?

 

 

これは、社員が固定席を持たず、空いている席を自由に使って

 

仕事をするワークスタイルのことです。

 

 

IT技術の進化もあって導入へのハードルは下がってきて、

 

実際に私も何社かで拝見したことがあります。

 

 

コスト削減や省スペース化のメリットのほか、

 

働き方改革の一環として導入を検討する会社も増えています。

 

 

そして、業務効率化やワークスタイル変革に繋がると注目されています。

 

 

しかし、弊害もあるようです。

 

 

知り合いが勤める大手企業で、フリーアドレスを導入したら、

 

連絡をしたい人がどこにいるか分からなくて、最初はメールで

 

「どこにいる?」と問い合わせをするそうです。

 

 

大きな会社で、大きなワンフロアの悩みでしょうか?

 

 

効率化の前には一手間かけないといけないようですね!

 

 

 

 

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