社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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社員への損害賠償はできますか?


2018年9月 4日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


おはようございます、社会保険労務士の内海です。

 

いつもありがとうございます。

 

 

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今日は「社員への損害賠償はできますか?」を解説します。

 

 

会社側から社員に対して、「社有車で事故をした」等で、

 

「社員に対し、損害賠償等を請求できますか?」とよくご質問を

 

お受けします。

 

 

会社が社員に対して、損害賠償を求めるのは「法律的に違反

 

することなのかどうか?」ということもよくご質問があります。

 

 

 

従業員が会社に損害を与え、それが労働契約に違反するものであった

 

場合、契約違反は民法でいう「債務の不履行」にあたり、以下の

 

民法第415条の損害賠償責任を背負うこととなります。

 

----------------------------------------------------------------------

民法第415条

 

「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、

 

これによって生じた損害の賠償を請求することができる。

 

債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなく

 

なったときも、同様とする。」

----------------------------------------------------------------------

 

また、労働者の行為が「不法行為」に該当する場合にも、会社側は

 

不法行為に基づく損害賠償請求権を取得することになります。

 

 

一方、労働基準法では労働契約で違約金や損害賠償額を定めることを

 

禁止しています。

 

----------------------------------------------------------------------

労働基準法 第16条

 

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額

 

を予定する契約をしてはならない。

----------------------------------------------------------------------

 

ただし、損害賠償請求額を労働契約で予定することは禁止されて

 

いますが、会社が従業員に対して損害賠償請求を行うこと自体を

 

労働基準法で禁止されているわけではありません。

 

 

会社から従業員へ損害賠償を請求することは可能ですが、労働者の

 

行為が債務不履行や不法行為に該当するものであったとしても、

 

現在では労働者の「責任制限の法理」が確立されています。

 

 

この責任制限の法理とは以下となります。

 

----------------------------------------------------------------------

たとえ労働者の過失などにより生じた損害であっても、

 

労働者は使用者の指揮命令に従って業務に従事していることや、

 

労働者のミスはそもそも業務に内在するものであることなどを

 

考慮すると、その全ての責任を労働者に負わせるべきではなく、

 

信義則を根拠として労働者の責任を制限するべきだ。

----------------------------------------------------------------------

 

という考え方です。

 

 

また、責任を制限する程度については、

 

〇 事業の性格、規模

 

〇 労働者の業務内容、労働条件

 

〇 施設の状況

 

〇 勤務態度

 

〇 加害行為の態様

 

〇 その予防等に対する使用者の配慮など

 

労働者側、使用者側の双方の様々な事情を考慮すべきである

 

と考えられています。

 

 

 

責任制限の法理で有名な判例の1つに以下があります。

 

 

<茨城石炭商事事件 最高裁 昭和51年7月8日>

 

 

〇 会社は石油、石炭、プロパンガスなどを輸送、販売する会社で、

 

  約20台の業務用車両を保有していた。

 

 

〇 従業員Aは通常小型貨物の運送に従事する者でしたが、

 

  臨時的にタンクローリーの運転を命じられ、運転中に前方

 

  不注意により前の車に追突し双方の車を破損させてしまった。

 

 

〇 Aさんに対し会社はこれらの修理代等の全額を請求し、

 

  これで裁判となった。

 

 

そして、最高裁で以下の判断が下された。

 

 

〇 請求額の4分の1のみをAが支払えと認めた。

 

 

会社としては自分のミスなのだから自分で責任を取ってほしいと

 

思ったのでしょうが「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い

 

誠実に行わなければならない」という信義則の考えに基づいたのです。

 

 

そして、労働者の責任は制限されたのです。

 

 

 

また、同様の判例として「ガリバーインターナショナル事件」(東京地裁 

 

平成15年12月12日)もあります。

 

 

〇 中古車販売会社の店長が、車両を販売する際には代金が

 

入金されてから納車するのがルールであることを知りながらも、

 

取引先に騙されて入金がない段階で車両を引き渡した。

 

 

〇 15台相当の額の損害を生じさせてしまった。

 

 

裁判では、店長の重過失を認めつつ、賠償の責任範囲を

 

2分の1とする判決が下されました。

 

 

 

最近では以下の裁判があります。

 

 

<信州フーズ事件 佐賀地裁 平成27年9月11日>

 

 

〇 ドライバー社員Aが業務中にトラック同士の事故を起こした。

 

 

〇 Aは相手方に修理代約38万円を支払い、会社に全額負担を

 

  求めた。

 

 

〇 会社も反訴請求し、社有車の修理代を請求した。

 

 

裁判所は以下の判断を下したのです。

 

 

〇 Aの事故の賠償額の7割を会社が支払うこと。

 

 

〇 社有車の損害額の3割をAが支払うこと

 

 

以上3つの判例を見てもわかるように、損害賠償の減額の判断は

 

 

労働者側、使用者側双方の事情に応じて異なってくるのです。

 

 

 

 

社員と会社の損害の割合ですが、損害の公平な分担の観点から

 

個別事案の事情を勘案して検討されます。

 

 

そして、使用者責任が認められています。

 

 

セクハラ等では使用者責任が100%と考えらえますが、

 

営業中での交通事故等であれば、行為の態様や事故の予防

 

損失の分散について、会社の対応が考慮されるのです。

 

 

 

重要なことは、事が発生した時の割合では無く、「予防、防止

 

を会社としてどのような対応をしたか」なのです。

 

 

結果、このことが、事故等が発生し、損害等の割合にも影響が

 

大きくなってくるのです。 

 

 

 

 

また、採用についてもよくご相談をお受けします。

 

 

入社したら、すぐに出社できなくなり、実は精神疾患を

 

患っていた等のご相談を受けました。

 

 

面接で確認すべきことは人物評価などだけではなく、

 

【法的なポイント】も重要なのです。

 

 

むしろ、その方が重要なこともよくあるのです。

 

 

正直なところ、ここをないがしろにし、性善説に立ち過ぎた

 

採用活動を行なっていくと、落とし穴に落ちる確率が非常に

 

高くなるのです。

 

 

そして、事が起こってから、私に相談にいらっしゃることも

 

本当に多いのです。

 

 

さらに、ご相談に対応していて思うことが「基本的なことの

 

保全さえできていれば、こんなに傷口を広げずに済んだのに・・・」

 

ということです。

 

 

本当に本当に歯がゆい思いを何度も何度もしてきたのです。

 

 

このDVDは面接、採用に関して法的に保全すべきポイントを

 

多角的に解説しています。

 

 

また、「会社の出口」である解雇に関しても「法的な保全が甘い」と

 

いうことがよくあり、結果として、トラブルになった場合は傷口を

 

広げることになります。

 

 

そこで、会社の「入口」、「出口」の両方を保全するという

 

意味から、解雇についても解説しているのです。

 

 

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無断使用、無断転載を禁じます。

 

これらの事実が発覚した場合は法的措置を取らせて頂きますので、

 

ご注意ください。

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取締役・社労士 内海正人(うつみまさと)

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

メルマガの原稿を事務所以外で書くことが増えています。

 

 

この記事も外で書いています(笑)

 

 

ホテルやカフェで書くことが増えましたが、数年前に比べると

 

フリーのWiFiの設置が増えましたね。

 

 

PocketWiFiを持つ必要がなくなるくらいですね。

 

 

これも東京オリンピック効果でしょうか?

 

 

でも、念のためにいつもPocketWiFiを

 

忍ばせています・・・。

 

 

もっともスマホで接続できますが(-_-;)

 

 

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