社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所

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固定残業制度で残業時間が不明の場合は、残業代として認められるか?


2018年9月11日  投稿者:社会保険労務士 内海 正人


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今日は「固定残業制度で残業時間が不明の場合は、残業代として

 

認められるか?」を解説します。

 

 

固定残業制度を導入している会社は増えています。

 

 

そして、「この制度を導入している会社はブラックだ!」と

 

言われた時もありましたが、裁判等で取り上げられることも

 

増えて、ポイントを押さえれば問題ないと判断されています。

 

 

では、ポイントとして何を押さえておかなければいけないのか

 

ここで整理してみましょう。

 

 

〇 明確区分性(通常の労働時間の賃金に当たる部分と残業の

 

  賃金が明確に区分されていること)

 

 

〇 対価要件(割増賃金の対価として支払われていること)

 

 

〇 差額支払の合意(定額部分を超える割増賃金の差額を支払う

 

  合意)

 

 

これらのポイントが裁判でも問題視されて、これらの要件が

 

無ければ固定残業制度そのものが認められない可能性が高く

 

なってしまうと言われています。

 

 

また、基本給に組み込まれているもの、手当として別支給されて

 

いるものがあります。

 

 

特に基本給等に固定残業代が組み込まれているものは、明確に

 

区分されていることが必要とされています。

 

 

このため、労働基準監督署の調査等では、

 

〇 固定残業に該当する労働時間

 

〇 固定残業に該当する賃金

 

の両方が明確になっていないと固定残業制度そのものが

 

認められない可能性が高くなるんです。

 

 

 

これに関連する最高裁の判例で、医療法人社団Y事件

 

(平成29年7月7日)があります。

 

 

この裁判では、医療法人と医師との間の雇用契約にて、

 

時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意が

 

あっても、割増賃金を支払ったことにはならないとされました。

 

 

理由は年俸(1,700万円)の区分性でした。

 

 

残業代というのは、労働者の労苦に対する対価という意味ももちろん

 

ありますが、使用者に残業代を支払わせることによって、労働時間を

 

抑制することに力点があります。

 

 

したがって、高い給与を払っていても管理監督者ではない限り、

 

基本給部分と残業代部分を区分しておかないと、労働時間と残業代の

 

対応がわからず、労働時間の抑制機能が働かないことになります。

 

 

最高裁は区分性ということをもって、残業代の未払いを認めたのです。

 

 

 

 

 

確かに、この最高裁の判例からわかるとおり、残業部分がどの部分

 

なのか?わからないと大きな問題です。

 

 

よって、固定残業代は何時間分の残業時間なのか?も明確にしないと

 

いけませんと言う流れになっていますが、時間の記載がないと、

 

固定残業制度が認められないのでしょうか?

 

 

これに関する裁判があります。

 

 

<泉レストラン事件 東京高裁 平成30年5月24日>

 

 

〇 会社は固定残業制度を導入していた。

 

→ 基本給、業務手当、資格手当の各3割を固定残業代として

 

  支給

 

 

〇 元社員が「時間外労働数が不明で割増賃金が支払われていない」

 

  と主張し、裁判となった。

 

 

そして、裁判は高裁まで行き、高裁の判断は以下となったのです。

 

 

〇 固定残業制度では対応する時間数を特定する必要はない。

 

 

〇 手当の性質に照らして7割相当を通常の賃金としても

 

  不合理なところはない

 

〇 労働基準法37条(残業代の支払い)に反しない。

 

 

 

この裁判を詳しくみてみましょう。

 

 

雇用契約書上に明記された時間外勤務手当額については、

 

時間外労働等に対する割増賃金の支払に充てる趣旨であることが

 

明確であったのです。

 

 

よって、通常の労働時間に対応する賃金との区分も明確であるから、

 

いわゆる定額手当制の固定残業代として有効と判断されたのです。

 

 

時間外労働数が不明ということを元社員は主張して、固定残業制度の

 

無効を訴えましたが、金額が区分されており、妥当な割合と判断され

 

この制度は有効と判断されました。

 

 

もっとも、固定残業制度は給与規程で記載されており、

 

それに基づいた雇用契約を締結しています。

 

 

このようなプロセスでも問題はなかったのです。

 

 

 

 

これから固定残業制度の導入を考えられる方も、

 

今、導入されている方も次の項目を改めて、チェックして、

 

落ち度の無いようにしましょう。

 

 

〇 基本給組込型より、手当としての支給のほうが裁判等で

 

  固定残業代として有効となる確率が高い

 

 

〇 名称は「時間外手当」などとし、わかりやすい名称がベターで、

 

  営業手当などは対価要件(残業手当として支払っている)が

 

  弱い

 

 

〇 就業規則(給与規定)で定める

 

 

→ 「〇〇時間分を固定残業代として支払う」

 

 

→ 「金〇万円を固定残業代として支払う」

 

 

→ 差額精算についての項目を記載「なお、固定残業部分を超えた

 

  残業が認められる場合、会社はその差額を清算の上支給する」

 

 

〇 固定残業時間を設定する際に現実的な時間とする

 

 

→ 固定時間45時間以内が無難

 

 

→ 時間が多すぎると、不当に長時間なものは労働契約上の合理性を

 

  欠くと判断されてしまう

 

 

以上のことを中心に考えて、固定残業制度をより良く運用することを

 

おすすめします。

 

 

固定残業制度は「残業代を抑制する」ものではありません。

 

 

実際に、設定時間を超過したら、その分の支払いも発生するからです。

 

 

それよりも、固定残業制度のメリットとして以下が考えらえます。

 

 

〇 給与計算事務負担の軽減

 

 

〇 長時間労働の抑制手段

 

 

〇 採用上の訴求力が高まる(基本給を抑えつつ、手取り総額を上げる)

 

 

以上のことを踏まえて、固定残業制度のメリットを抑えつつ、

 

社員の働き方に合った制度なのか?を検討して導入、改正を

 

行いましょう。

 

 

 

もう一度、言いますが「残業代を払わなくても良い制度では

 

ありません」ので、法的に有効な運用で進めましょう。

 

 

 

 

 

また、採用についてもよくご相談をお受けします。

 

 

入社したら、すぐに出社できなくなり、実は精神疾患を

 

患っていた等のご相談を受けました。

 

 

面接で確認すべきことは人物評価などだけではなく、

 

【法的なポイント】も重要なのです。

 

 

むしろ、その方が重要なこともよくあるのです。

 

 

正直なところ、ここをないがしろにし、性善説に立ち過ぎた

 

採用活動を行なっていくと、落とし穴に落ちる確率が非常に

 

高くなるのです。

 

 

そして、事が起こってから、私に相談にいらっしゃることも

 

本当に多いのです。

 

 

さらに、ご相談に対応していて思うことが「基本的なことの

 

保全さえできていれば、こんなに傷口を広げずに済んだのに・・・」

 

ということです。

 

 

本当に本当に歯がゆい思いを何度も何度もしてきたのです。

 

 

このDVDは面接、採用に関して法的に保全すべきポイントを

 

多角的に解説しています。

 

 

また、「会社の出口」である解雇に関しても「法的な保全が甘い」と

 

いうことがよくあり、結果として、トラブルになった場合は傷口を

 

広げることになります。

 

 

そこで、会社の「入口」、「出口」の両方を保全するという

 

意味から、解雇についても解説しているのです。

 

 

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●本記事は専門的な内容を分かりやすくするため、

 

敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。

 

お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。

 

当社にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害に

 

ついても、当社は賠償責任を負いません。

 

 

また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、

 

ご注意ください。

 

 

 

■編集後記

 

 

社会保険労務士の経営にもAIやRPAなど、HRテックと

 

言われている技術の波が押し寄せてきています。

 

 

社会保険の提出代行などの業務が無くなるのでは?と噂されています。

 

 

この先はわかりませんが、業務範囲も広く、工夫次第では

 

業務範囲がまだまだ広がるのではないかと私は考えております。

 

 

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